遊戯王

□サンタからの贈り物
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「フハハハハ!愛奈!クリスマスプレゼントだ!」


高笑いと大きく硝子が割れる音と共に、クラスメイト・海馬瀬人が現れた。
ここ、マンション10階なんだけど…そもそもその割れた硝子どうしてくれるんでしょう。
一気に冷たい風が入ってきて寒いです。

そして、クリスマスプレゼントだと意気込んで入ってきてはいるけれど、彼の手にはなにもありません。


「…プレゼント、ないみたいだけど…。って言うかその前にその硝子どうしてくれるの、寒い。」


「案ずるな。こんな安物の硝子など俺が立て替えてやる!それにプレゼントなら目の前にあるだろう?」


安いマンションに住んでいてごめんなさいね。
そして、目の前にあると言われても、目の前にはこの寒さの根源しか見えません。
とうとう、ソリッドビジョンを極めすぎて幻覚でも見えるようになった…?


「…貴様…物忘れが激しい奴だな。」


そう言いながら、彼はなにかを取りだした。
ん…それは…!?


「なんで…なんで海馬君が私の幼稚園の卒園文集持ってるの!!」


「ふぅん…俺にかかればこんなものすぐ手に入る。」


なんの自慢にもならないよ…思いっきり窃盗って言うんだよ…。
でも、海馬君はそんなものお構いなしに文集を捲り始めた。

そして、捲るのを止めると私に見せた。


【サンタさんにもらいたいもの】
わたしは、さんたさんにすてきなだんなさんがもらいたいです。  あいな


なにこの痛いもらいたいもの…。
ないわ…過去の私…。

チラリと海馬君を見ると、満足そうに私を見ていた。


「で…それと海馬君の見えないクリスマスプレゼントと、何が関係してるの?」


「貴様のほしがっていた旦那とやらをプレゼントしてやると言っているんだ。この海馬瀬人が、貴様を妻として迎えてやる!」


…は?
寒さで頭がおかしくなったんでしょうか。
付き合ってもないのに、いきなりプロポーズですか。
いや別に、海馬君が嫌いなわけではなく…むしろ、どっちかと言えば好きなわけだけど…。
でもほら、結婚だよ?人生の重要な選択ですよ?
何考えてるんだこの人。


「…いきなりすぎて展開についていけないんですが…。」


「案ずるな。もう既に準備はしてある。俺の屋敷に行くぞ!」


「は?え?ちょ…待ってぇぇぇぇ!!!!」


相変わらずのドヤ顔のまま、私はいきなり海馬君に担ぎあげられ、ベランダに連れていかれた。
そして、ベランダの外で迷惑極まりない音で停滞しているヘリに向けて、海馬君がベランダから飛び降りてヘリから投げられているロープに掴まった。
担ぎあげられたままの私は、落されるんじゃないかと気が気じゃなかった。
本当に死ぬかと思った。
もう少し乗せ方ってあるよね?

てっきりヘリに乗せてくれるのだと思ってたのに、海馬君はそのまま海馬邸へヘリを進めた。
本人は満足そうな顔をしているけど、私、海馬君の手が離れたらまっさかさまなんですけど。
ある意味サンタさんと同じ色になれるんですけど。



お父さん、お母さん。
10年以上生きてきて、サンタさんからこんなプレゼントをもらったのは生まれて初めてです。




fin
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完全に時期外れですが…。
せっかくのイベントをあっさり飛ばしたので、遅ればせながら書いてみました。
社長って絶対やることやること常識を超えてる気がします。
そんな彼が大好き!

 

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