涼宮ハルヒの憂鬱

□『涼宮ハルヒの願望』
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「行ってきまーす」

「いってきま〜す!」



学校に向けて、出発…

妹とは途中まで同じ道なので、一緒に登校をしている…





「…ふあぁ…」





しかし、眠い…
欠伸が頻繁に出てくる…


…だがまあ、今日は一限目が体育だ。一気に眠気が取れるだろう。
これが数学や化学等だったなら、睡魔の奴等が強大な力を獲得して、俺を眠りという奈落に突き落としていた事だろうが。


一先ず、今日は乗り切れそうだ。
とにかく授業が終わったら、文芸部室で一眠りするか、早々に下校して我が家で心地好い眠りを満喫するか…にしよう。

………後ろの席にあいつがいるから、強制的に前者になるだろうが。

そんな事を考えているうちに、妹が


「キョンくん、行ってくるね!」


と、言い、向こうに見える同級生に手を振りながら、笑顔で駆けていった。

「おはよー!」

そう言ってその同級生の隣に止まり、話し始めた。

…その同級生には見覚えがある。
妹の親友のミヨキチこと、吉村美代子(よしむらみよこ)だ。



視線が合ったので、軽く会釈をした。
彼女は、まだ小学生五年生とは思えない様な、とても大人びてる少女である。
彼女も上品に会釈を返し、微笑んだ。
本当に、どういう事だろう。
何をしたらうちの妹もあんな風になるのだろうか…?













さて、俺はミヨキチを見る為にここまで来たのではない。
学校に行く為だ。










俺が通っている県立高校は、うんざりする程の長い坂道をずっと登った所にあるのだ。
まあ、もう少しでこの坂道とも一年の付き合いになる。充分慣れてきた。


「よ、キョン!」


ちらほら俺と同じ学校のブレザーやセーラー服が道に現れる頃、何者かに後ろから声と共に肩を叩かれた。

ちなみに、キョンというのは俺のあだ名だ。
祖母が生み出し、妹が広めた、どうしようもないニックネーム。
もう完全に定着してるので、今更変更を申し出たりしない。

それにしてももう、この世に生を受けてから、本名より、あだ名で呼ばれる方のカウントが上回っている気がする。気のせいだろうか?


まあいい、とにかくこいつだな。
実は、「誰か」解っている。

振り向くまでもないそいつは、いつもの様に後ろから肩を叩き、声を掛けながら現れるのだ。


そのまま無視もありだが、振り向いてやる事にした。

「よう、谷口(たにぐち)」

そこにはいつもの様にまぬけ面があった。


「おう!
国木田(くにきだ)もいるぜ!」

谷口が身体を少し横に退けると、そいつはひょっこり出てきた。


「やあ、キョン」


谷口には堂々とアホと言えるが、国木田にはそうは言えない。

谷口は俺と学力がほぼ同じなので、一緒に赤点ギリギリ低空飛行を繰り返している仲なのだ。東中出身なので、高校で初対面だが、今では教室で国木田と一緒によくつるんでいる。


国木田は俺と同じ中学出身だ。仲も良い方だったので谷口と共にクラスでよく話したりしている。
俺と谷口が唯一持ってないものを、こいつは持っている。ずば抜けた学力だ。
中学でも、まさか同じ高校になるとは思わなかった程だからな。


「おう」


歩いたまま軽く返事をする。
すぐに前を向くと、学校はもう目と鼻の先だった。















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