『一円玉爆DAN!(仮)』

□第一章
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それは卒業式だった。俺は中学で特に仲の良かったクラスメイトの三人と、校門を出てから話し込んでいた。

「いやあ、本当色々あったよな〜」

「だよな。しかし、あっという間だったよ」

詰まる所、四方山話と言う訳だ。

「さて、ところで諸君。俺たちにはまだ成し遂げていないことがあるよな…?」

そうやって切り出したのは、三好(みよし)だ。

「成し遂げていないこと…?」

こいつは上田(かみだ)。少しマイペースなところもあるが、まあ良い奴だ。

「そう。成し遂げていないこと……。それは、」

「彼女か…?」

「そうだ、正解だ! 良く答えを導き出したな! 門崎(かどざき)!」

「いや、だってお前、彼女欲しいっていつも言ってたじゃねえか。すぐ解るよ」

門崎。この中で一番頭が良い。クラスでは二番目に頭が良い。おまけに二枚目だ。

「…そうかそうか。って門崎! そういやお前は彼女いるだろうが!」

三好が喚く。門崎は困ったような顔をして、弁解した。

「お前が忘れてただけだろ…!?」

「……っ……」

三好は項垂れると一瞬で持ち直し、こう叫んだ。

「未定(みさだ)!」

…俺の名前だ。

「なんだよ…?」

「お前まだ彼女できたこと無いだろう…?」

「…まあな」

これは本当の話だ。自分で言うのは酷だが、俺は至って普通の顔。バレンタインに本命のチョコが机や下駄箱いっぱいになることなど夢でもなったことが無い。

「そして、うえだぁ!!」

「うえだじゃなくて…上田(かみだ)…」

「どっちでもいいだろ! 字にしたら全く変わんねえよ!」

「中一からこれだもんな…」

「とにかく、上田も彼女できたこと無いだろ?」

因みにこれも「うえだ」と言っている。三好は上田の言う通り、呼び方を改めることは中一から行っていない。

「まあね」

これも本当だろう。こいつが誰かと付き合ってると言う話も聞いたこと無いし。

「よし二人とも! 今ここに革命を起こそうではないか!」

「革命…?」

意味解らん。

「今は卒業式。しかも俺たちには最大の武器がある!」

武器…?

「第2ボタンだ!」

「成る程ねえ…」

上田が感心するようにそう呟いた。…だが、第2ボタンでどうにかなるもんでも無いだろう。

「その『武器』でどうする気だ…?」

「まず、第2ボタンを外す!」







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