涼宮ハルヒの憂鬱
□『涼宮ハルヒの休息』
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ある晴れた日のこと。
「あ、キョン!」
登校途中に後ろから、聞き覚えのある声が掛けられた。まさかと振り向いてみると、なんと珍しい。ハルヒがいた。俺が驚いていると
「奇遇ね」
そう言いながら、俺の横に並んだ。
「まったくだな」
これは本当に本当の話である。登校中はあまり会わないからな。って、当たり前か。互いに家は近くないし。
「キョン、昨日何かに会わなかった?」
唐突にハルヒが聞いてきた。
……何かって何だよ?
「宇宙人とか超能力者とか……とにかく、何かよ!」
とっくの昔に会っている。……という言葉を飲み込んで。
「会ってない」
昨日は普通に帰宅してから晩飯食って、風呂入って歯磨いて寝たさ。いつもの日常だ。
それを聞き、ハルヒは眉を吊り上げ
「本当?」
当たり前だろ。なぜ疑う?
「今日夢を見たのよ」
ほう、それで?
「そしたらキョンが出てきて」
俺?
「俺は何かに会ったぞ!って叫んだの」
めちゃくちゃバカみたいだな。一体何に会ったらそんなテンパるんだ?
「知らないから聞いてるんじゃない」
俺が知るか。お前が見た夢の中の俺は、俺じゃない。フィクションの俺だ。だから今の俺に関連はない。別人も同然だ。
……つまり、夢は当てにならん。かなりリアルに感じても、そうじゃない夢をお前も見たことがあるだろう?
「…んー、そういえばそんな夢見たことあったわね」
ハルヒはアヒル顔で、俺を睨み付けている。だろうな、解るぜ。
……俺は一瞬だが、あの日見たリアルな夢を思い出しそうになる。
いやいや、思い出しそうになっただけだ。我を忘れてガードレールを飛び越え、車に衝突したいという衝動に駆られてしうからな。ギリギリのラインだ。この記憶はどうすれば捨てられるんだ?
拳銃で頭を撃ち抜きたくなってくる。
「あ、そうだ。土曜日暇?」
「暇じゃなくても聞かねえだろ?」
俺の言葉にハルヒは、満面の笑みでこう言った
「よく解ってるじゃない!さすが団員その一ね!!」
………そりゃ、お前との付き合いもそろそろ一年になるからな。解るさ。
……嫌でもな
それにしても、折角の土曜日に何をしでかす気だ?
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