日雛のお話

□天〜そら〜
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結構な広さの部屋に机とソファと言うこれもまた部屋を広く見せる少ない家具。机にはいつになく少ない仕事をしながら日番谷が座っていた



「子供、か」


誰もいない部屋に独り言が響く




胸に秘めたこの思いが届くならいっそ子供のままでいいと思ってしまうのは極度の不安からか







それとも









ガチャン


側に置いてあった湯呑みが割れた


「松本のやろう…」



日番谷は窓の外を見た
今日一日で何回天を見ただろうか






「五番隊副隊長、雛森です」



思いもよらない訪問者に驚きながらも平静を保つ



「何だ?」



「はい、書類」



「あぁ」



「また空見てたの?」


一瞬、日番谷はドキリとした
天を見てたのは雛森が入ってくる前で見られてはいないはずだ


「…なんでそう思うんだ?」



「なんでって…」



なんとなく?と雛森は首を傾げて答える




「なんとなくでわかんのか」



フッと笑みを溢す日番谷に雛森も嬉しくなる



「だって日番谷くんのことならなんでもわかるもん」

違う

違うんだ

勘違いするな
こいつが言ってるのはそういう意味じゃねぇ


「日番谷くん?」




「お前、すげぇな」



「え?」



「俺はわかんねぇよ」


お前のことも




自分のことも…








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