人間・死神・破面・仮面のお話
□想い、想われ。振り、振られ。
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カラク、
スベテハ
始マッタバカリ―。
井上織姫の想い
それは、降り積もる雪。
「織姫ー帰るよー」
一度も枯れない花になりたい。
そう思いはするのだけどやっぱりそれは無理なのでしょう
世界の秩序というものは常に盛者必衰の理の上に成り立つものなのです―。
「なーにブツブツ言ってんの!!ほら、もたもたしてるから教室残ってんのあたしらだけだよ?」
「今週の週刊文春だよ!なーんか難しいことばっかりでさっぱりだよ!」
「渋っ!あんた笑点とか週刊文春とかおばあちゃんかっての」
「うわぁホントだ!あたしたちだけだね、たつきちゃん!」
「うん、まず人の話聞こーね…」
「あれ?お前らまだいたのか」
「黒崎くん!」
「おぅ一護、なんだ忘れもんか?」
好きな人の、黒崎くんの気配を感じとって誰よりも早く声をかけられる自信はある
でもそれから先、何も言えなくなる
たつきちゃんが羨ましい
あんなに仲良く黒崎くんと喋れるのなんてたつきちゃんか男の子だけだ
「あぁ、ちょっとノートを取りにな。てゆーか井上それ何読んでんだ?」
ドキリ、と電気が走った
全身に。
「あ、こ、これ?週刊文春!深くて壮絶な文章の中に細やかな幸せと熱がかいまみえるストーリー、すごく面白いよ!」
あたしは今、あなたの前で普通にしゃべれているかな?
声をかけられるとドキドキしちゃってなんだかうまく口がまわらない気がするんだ
「お、おう。そうか
…もうこんな時間か。帰るぞたつき、井上」
「なんだよ一護、一緒に帰んのか?」
「もう真っ暗じゃねーか。たつきはともかく井上が危ねぇだろ。」
「あたしが何だって?」
「だ、大丈夫だよ!あたしもたつきちゃんから習って護身術くらいは身に付けてるから」
「いーから、ごちゃごちゃ言ってねぇで行くぞ。どっちみち帰る方向同じなんだから」
他人を放っておけない
それは黒崎くんの優しさ
いつもの頼もしい態度とは裏腹な時折見せる雪のような優しさに包まれてあたしの心は温かい
あたしの想いはどんどん降り積もってゆく
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