日雛のお話
□唇の熱
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「ねぇねぇ、シロちゃんはさキスしたことある?」
学校の帰り道、いつも通り二人で歩く通学路は夕焼けで紅く染まっていた
もうすぐ家に到着すると言うときに好きな女からのいきなりの質問に少々焦る
「さぁ…どうだかな」
とっさに曖昧な答えを返す彼女のこの手の質問攻めは今に始まったことじゃない
時々、会話が途切れると思い出したようにこんなことを聞いてくる
男の子はなんですぐエッチなことばっかり考えるの?と聞かれたときは流石に困った
おおかた松本にでも吹き込まれてるんだろう
いつか、好きな子いるの?とか聞かれたらどうしようかと内心ビクビクだ
俺の気持ちはまだあいつには届いていない
「えー覚えてないの?!」
信じられないといった目で見られた
「じゃーお前どうなんだよ」
こいつこれでも俺より一つ年上だから可能性は俺よりあるわな
「ふぇ?!なっないよ//」
何故か顔を赤らめるのが無償に可愛い
顔を近付けて見るとセーラー服の襟元があいていてピンクの下着がちらっと見えた
保ってくれよ俺の理性、と念じながら雛森の瞳を捕えた
「なに?シロちゃん」
更に顔を紅くして視線を外そうとするがそうはさせねぇよ
「なんだよ、こっちみろよ」
「だってシロちゃん顔近い」
「だから?キスするとでも思ったか?」
「思ってないよ!」
顔を真っ赤にした雛森は俺の胸ぐらをトントン叩いた
「…シロちゃん?」
黙っていたのが怒ったと勘違いしたのだろうか
雛森は不安そうな顔を覗かせた
ほんとは雛森にみとれてたんだけどな
「シロちゃんごめん、痛かった?」
痛いわけねぇだろ
寧ろそんな可愛い仕草すんならいくら殴られてもいい
「痛くねぇよ。それより…」
「?」
やっぱり可愛い顔で首を傾げる雛森の頬に手を当てる
「お前、知ってるか?」
「…何を?」
「キスの味」
雛森はますます顔を赤くして目をそらした
やべぇ
可愛いすぎ
「し、知らないよッ…したことないんだから…」
最後は消えそうな声だった目が泳いでるっつの
今だ俺の顔を見ようとしない雛森の唇にゆっくり自分の唇を押し付けた
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