日雛のお話
□雪解け
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ぽたぽた…ぽた…
雨が降っているわけでもないのに建物の屋根からは水の滴る音…
そんな不規則な水の音にも気付かず『十』と書かれた羽織を着る銀髪の死神。
まだ少年と呼ぶにふさわしいこの死神はその稀な才能によって史上最年少で隊長という重役を任された
そんなことはさておき、
この少年、日番谷冬獅郎は只今大量の書類と格闘しており、
「隊長〜、これ今日中になんて無理ですよぉ〜!」
「……。」
当然副隊長の泣き言なんて耳に届かなかった。
と言うより周りの音にすら気付かない。
ただひとつ、例外を除いては。
コンコン
「五番隊副隊長 雛森桃です。書類を届けに参りました。」
ピクッ
「?日番谷君?いないの?」
「入れ。」
「失礼します。うわっ凄い量だね;」
「雛森〜vいいところに来た!ちょっと手伝ってくれない?」
「えっ、でもまだ五番隊の仕事がっ「いーからいーから。」」
性格上、強く断れない雛森につけこむ乱菊
「松本」
雛森が執務室に入ったとき、否、執務室に近付いてくる霊圧が雛森のものだとわかった瞬間からとうに集中力を失っていた日番谷が口を出す。
「なんですか?隊長。」
「そんなにやりたくないのなら今日はもういい、帰れ。」
「ほんとですか?じゃ、お先に失礼しまーすv」
日番谷の怒りの篭った台詞を都合の良いところだけ聞き入れ、そそくさと執務室をあとにする乱菊。