日雛のお話第2巻

□以心伝心
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早朝、目が覚めた。 
めざまし時計など不要。
もう何万回と繰り返してきた朝だ、腹時計はいつの頃からか現世のアナログ時計より正確になった。
試しに時計を見た。
眉をひそめる。
いつもより5分起きるのが早かった。


いつもと変わらない朝。 
しかしいつもと違う俺。


時計の隣に置いた小さな箱を見た。この中に入っているのは昨日宝石店で五時間も悩んでやっと決めた小さな金属の輪。

いよいよ今日だ。


胸に秘めた決意は昨日の朝にはなかったものだった。


グッと伸びをする。
平常心を保つためにできるだけいつも通りに。


よし、とりあえず…

何をしよう?
あ、そうだ。洗顔だ。



『以心伝心』









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