日雛のお話第2巻

□コンコンX´mas特別編
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クリスマスイブの夜

教会の鐘が鳴り響く 



僕らはその下で唇を重ね永遠を誓い合う 







 『聖なる夜に…。』










「あ、あの、石田さん?」

至近距離の彼女は言うまでもなく綺麗で僕はまだ心臓がドキドキしていた。


「な、何だい?」


「今なんておっしゃいました?」


「は?」

「鐘の音がうるさくて聞こえませんでした。すみません。」


「え、何ってそりゃあ…」

たった今告白したセリフを思い出す。そして恥ずかしさに赤くなる。決して二度繰り返せるようなセリフじゃない。

「それと、今のは何ですか?」

彼女は唇を押さえて少し赤くなった

「えっとキ、キスのつもりだったんだけど…」


「キスは普通恋人同士がするものだとマユリ様に教えられましたが…?それも三段階あってより親密なら深くなると…。」

相変わらずいらん知識ばかり教え込んでるな変態親父め。つーか三段階って中学生の言い回しじゃないか


「…僕たち恋人だろ?」

今度は彼女が真っ赤になって俯いた


「…そ、そうでしたね。」


「それと今のは三段階で言うと、一番下かな」


「では私と石田さんは三段階で言うと一番親しくないということですか?」

彼女が不安そうに僕を見る
僕は苦笑いで答える


「いや、そうじゃないけど。一応初めてだし…いきなりは、ね」


すると彼女は真剣な瞳で僕を見た。その瞳には僕しか映っていなくて 


「でももし君が嫌じゃないのなら、もうワンステップ上のキス…しようか?」


彼女は黙ったままだったがその瞳は混じり気がなく、拒絶の色を含んでいなかった。 


僕はそのまま流されるように彼女の頬に手を当てて唇を奪う 

今度は彼女も目を瞑ってくれた


さっきよりも深く 甘く…

彼女から伝わる熱に溺れないように


唇を離すと恥ずかしくなってお互いに隣り合って座り顔が見えないようにした。 


「あれ、クインシーに似てますね」
彼女が差したのは教会の十字架 
「あぁ。実際、あれとクインシーとの関係は僕にはわからないけれどここにいると落ち着くんだ。」

「だから私をここに呼んだんですか?」


「そうだ。ここで君と一緒にいたかった。今夜は特別な夜だから。」

ふっと肩に重みを感じる。
気が付くと彼女は僕の肩で寝息を立てていた。




僕はそっとさっきは届かなかった言葉を口にした。 



「愛してる…ネム。ずっと一緒にいよう」

彼女が聞いていなければいくらでも言えるのに。


教会のステンドグラスを見上げるとフワフワと舞落ちる幾千もの小さなシルエットが写った。


「…やっぱり降ってきたな。通りで寒いはずだ」


降りしきる雪は彼女を起こして見せたくなるくらい綺麗だった


そういえばキスの三段階って一番上はなんだったっけ?などと考えながらサンタクロースを待つ子供のように彼女が目覚めるのを待っていた 






fin 

メリークリスマスイブ☆ 
まずは雨ネムでした。 
連載読んでる方のために今回は番外編と言うことで。 
まだ本編恋人じゃありませんが…
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