日雛のお話第2巻
□encounter
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水曜日。
テスト明けの学校の帰り道。
AM11:36
いつもと違う時間帯の通学路はいつもより眩しくてすがすがしい。
今日はこれからコンビニで飯を買い昼過ぎには図書館で勉強の予定。
テスト明けだというのに休む暇などない。受験はどこまでも地獄だ。
「ありがとうございましたー」
コンビニの店員は業務用“作り笑い”で俺を送り出す。手にはコンビニ袋をぶら下げ来た道を引き返す。
AM11:50
通りすがった公園で買ったばかりのおにぎりを食べた。
そこへやたら毛並みの艶やかな犬が一匹、おにぎりの匂いに誘われて寄ってきた。
犬は舌を出し、俺をじっと見ていた。
「…やらねぇからな」
つぶらな瞳に負けないように声に出してにらみつける
だが、そんな俺の言葉の意味などまるで理解せず犬は尚も俺に期待の眼差しを向けた
「お前、野良じゃねぇだろ。物乞いは飼い主だけにしろよ」
最後の一口を食べ終えて立ち上がっても犬はまだ俺を見ていた。
このままでは後を付いてきそうなので仕方なく間食用に買っておいたパンをそいつにあげた。
犬がパンに夢中になっているうちに俺は図書館へ向かった。
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