日雛のお話第2巻
□誕生日には綺麗な薔薇を。
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6月4日AM5:57
尸魂界某所―宴会場
「うぅーん…隊長サイテー…ひっく…」
「…ボクはヘタレじゃありません…ムッツリです…」
「…え、いいんですか乱菊さん…それじゃあ…うひひ」
「もう…食べられない…ですぅ」
(うわーみんな寝言すごい;)
昨夜開かれた雛森桃の誕生日会(と称してただの宴会)で酔い潰れた多くの死神がいまだに眠りについていた
そんな中、主役にも関わらず酔っぱらいの介抱で酒をあまり飲まなかった雛森は1人、目が覚めた
せっせと空いた酒ビンを片付け、薄着の者には毛布をかけていった
「ん…雛森副隊長殿…?」
「あ、朽木さん起きた?」
毛布をかけると朽木ルキアは目覚め、目をこすりながら辺りを見渡した
「兄様は…」
「隊長さんたちはもう隊舎に戻ったよ。まだ寝てる人もいるけど…」
そういって雛森は目をやる
その先には京楽と隊長代理の吉良と檜佐木の二人が見事に眠っていた
「そうですか…。雛森副隊長殿はずっと起きておられたのですか」
「いやだなぁ朽木さん、同期なんだから敬語使わなくていいよ。あと名前も、こういうところでは桃って呼んで。ね?」
「しかし…」
「あたしもルキアちゃんって呼ぶから」
「あ、あぁ。」
雛森はニコッと笑うとルキアの頭を撫でた
「ルキアちゃん寝癖ついてる♪」
「桃」
「ん?」
「日番谷隊長は…?」
ルキアはどこかさみしそうな雛森に問いかける
(きっと理由は一つだ)
ルキアはわかっていた
(桃の元気がないのは現世任務に行ったきりの日番谷隊長殿がなかなか帰って来ないから。笑顔を絶やさずにいるが本当は…)
「ううん…まだ…。」
「連絡は?」
「昨夜、あったよ」
そう言った雛森の顔が明るかったのでルキアはホッと胸を撫でおろした
同時に雛森の感情をここまで動かす日番谷にルキアは驚いた
雛森にとって日番谷がどれだけ大きな存在であるか、ルキアにもよくわかった
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