日雛のお話第2巻

□哀悼
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ただ側にいて

笑って

泣いて

怒って

喜んで



俺の心に毎日、新しい記憶を刻んでくれればそれで良かった



戻らない時間は
俺にただそれだけの権利をも与えてはくれないのか








「日番谷隊長、お時間です」



「あぁ。」








雛森、

俺は出掛けるよ

行き先は
お前のいる場所だ

今日お前の躰はこの世からいなくなるんだ
最期までちゃんと見守れるか分からねぇ

お前の顔
忘れないように
しっかり見とくつもりだがどうしても見られなかったらごめんな

でも心配すんな

お前の最高の笑顔は俺の心にとっくにしまってある







「ではこれより、雛森桃五番隊副隊長の隊葬をはじめる」



見えてるか?

雛森、

お前の躰は今、綺麗な花に囲まれてすごく綺麗な顔で眠ってるぞ



どうしてだろうな
この中にお前はもう居ねぇ筈なのに


今までで一番綺麗な寝顔だと思ったよ


お前がいなくなって
今度はお前の躰も消されちまう

もう二度と会えない

それを今充分過ぎるくらい実感してる








涙、止まんねぇな







雛森、


お前との思い出はもうつくれないが今までの分は一生忘れねぇ宝もんだ

お前がいねぇ世界で生きることに何の意味があんのか俺にはわらかねぇ


でもな

俺はまだ覚えてんだ

お前のぬくもり
優しさ
笑顔

それを忘れてしまうまで俺は生きなきゃなんねぇんだ

安心しろ
お前が遺したものはこっちで俺が持っててやる



じゃあまたな



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