日雛のお話第2巻

□コンコン感謝!2
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「コホンッ!―それでは新年を迎えて仕事初めの隊首会を始める」

毎年恒例の初任務。総隊長は長い巻物を広げて声を張り上げた

「二番隊!」

「はっ」

「四大貴族の初詣護衛!同時に刑軍を率いるものとする。次、三番隊!」

「は、はい!」

「大霊書回廊の書類整理」
「はい!」

「四番隊!」

「はい。」

「去年に引き続き、患者の―――――」


(はじまったな。)

いつものように二列に向かい隊長達の後ろに今日は副隊長、第三席も同席している
そしてヒソヒソと話声も漏れる
ここでは日番谷、乱菊、阿散井、更木たちが話し合っていた

(ぷっ吉良の奴、雑用押し付けられてら)

(そうゆうが阿散井、お前のとこは上級貴族接待だぞ)

(貴族のおもりだって恋次かっこ悪ーぃ!)


(しょーがないじゃないすか、六番隊は朽木隊長なんすから)


(へっさすがいーとこの坊っちゃんには礼儀作法が身についてるってこった)


(俺いーとこの坊っちゃんじゃないっす…)


(アンタのことじゃないわよ!)

(おい、静かにしろ!)


「十番隊!」

「はっ」

「十番隊は五番隊と共同で現世調査にあたれ。五番隊は隊長不在じゃ、おぬしが指揮をとれ」


「はっ」


「十一番隊!」

「ぁい」

「現世より捕えた藍染の試作破面の処理を任せる」

(やりましたね!たいちょー)

(何がだ?)

(雛森と一緒じゃないですか。とぼけなくても良いですよー今隊長が雛森にアイコンタクト送ったの見ましたから♪)


向かい側の雛森は確かにうっすらと微笑んでいた
それに返して日番谷も微笑む


(らっぶらぶなんですねぇ)
(ほんとオイシイよな、日番谷隊長)


(全くだ。向こうで虚殺り放題じゃねぇか)

(いや、そういう意味じゃないっすよ更木隊長;)


(うるせぇ。お前ら黙んねぇと総隊長に突き出すぞ!)

((う…すみません))

(オイいーなそれ、俺ァ一回あの人と殺りあってみたかったんだ)

恐るべし更木剣八


くすくす。

(どうしたんの?雛森ちゃん)

京楽がいきなり笑い出した雛森の顔を覗く

(いえ、なんでもないです)

(日番谷隊長達、随分楽しそうですね)

(卯の花隊長…わかります?)

(えぇ、彼も大分皆と打ち解けるようになりましたね。初めのころなんかろくに口も聞かなかったと言うのに)

(はい、ほんとに日番谷くん明るくなりました)

(寂しいんじゃないのかい?)


(いいえ…あ、最初はちょっと…でも今は心から喜んでます)

それに、と恥ずかしそうにつけ加えた

(日番谷くんとはもう前のようにただの幼馴染みじゃないんで…その…恋人だから)


(おやァ、やるねぇ日番谷隊長も)


(うふふ。初々しいこと)


雛森が顔を上げると目の前の日番谷と目が合った

すると日番谷は自分の首筋を指差し顎で雛森を差した
不思議に思い、自分の鎖骨あたりを見てみるとすぐに真っ赤になる


昨日刻まれたばかりの日番谷の印が紅く目立っていた

(「ば」「か」)

日番谷は面白そうに口だけで言った


「以上。各隊、今年も精を出して任務に励むように。閉会!」

雛森があわあわしてると乱菊が日番谷にまた何か囁いてその小さい体に抱きついた

うっとうしそうに乱菊を引き離す日番谷
そんなじゃれ合いを見て雛森は優しく微笑んだ

〔日番谷くんにもたくさん仲間が出来てほんとに良かった
これからはあたしたち二人だけの世界じゃなくてたくさんの人達の中の二人として生きてゆくんだね〕


「よぉし!今年も頑張るぞぉー!!」



fin
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