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□指輪
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結婚 なんて 出来ないけど …
形 だけは 残したいだろ ?
そう 言って くれた シンプルな指輪 。
赤く 染まった空が 特徴的な 思い出の場所で 、
愛しい あの人に はめられた 薬指の指輪は 、
どうして 貴方は はめられないのだろう 。
理由など 、 当に わかっているのに 、 ただ 認めたくない 。
… それだけ なんだ 。
大好きな 貴方は 隣に いるのに 、
大好きな 貴方は 隣に いない 。
そんな 矛盾 だらけの 関係 。
はめられた 指輪も 、 一定を 繋ぎとめる 一筋の光 。
どうして 僕たちは こうなった ?
「 チャミナ ? 」
「 … なんですか ? 」
「 いや ボーっ としてたから 」
「 嗚呼 … なんでも ありませんよ 」
「 そう ? ならいいけど 」
そういって 唇を 重ねた 。
僕は この唇に 、 貴方に 落ちていく 。
「 ん … っ 」
そっと 何度も 重ねられる 唇に
僕の 思考も 溶かされて 、
ぎゅっと 絡められた 指を 絡め返す 。
貴方の 左手の 薬指 。
僕のとは 全く違う 指輪の冷たさに 、
何度 涙が 出そうに なっただろう 。
唇を 重ねている最中に 僕は 貴方の指輪を はずす 。
「 っ … はぁ 、 」
そっと 離した唇 。 濡れた赤 。 一筋の 銀色の線 。
僕を 見つめる 熱っぽい 視線が 、
僕の 全てを 犯している みたいで 、
身体の芯 から ぞくぞく する 。
「 愛してるよ 」
貴方の呟く その言葉が いつもの合図 。
はずした 貴方の指輪を 隣のデスクに置いて 、
僕はまた その声に堕ちて 、 身体を 貴方を 求めてしまう 。
何度も 襲い掛かる 快感に溺れ 、 いつのまにか 気を失って … 。
目が覚めたときには いつも 貴方はいない 。
まるで安っぽい 恋愛映画みたいな 光景だ 。
ふと 、 視界の隅に 入る 隣のデスク 。
嗚呼 、 今日もか … 。
あのときに 外し置いた あの人の指輪は 、 やっぱり なくなっていて 。
あの人が 出て行ったときに 、 はめ直して 帰ったのだろう
。
それが いつもの こと だから 。
あのまま 指輪を はめずに 、
あの人の元へ 帰らずに 、 僕の傍へ 。
あんな 指輪 捨てて 、
なにもかも 捨てて 、 僕のものへ 。
そう 、 何度も 思い描いても 叶わぬ夢 。
1人暗い部屋 涙を流し思いふける 。
そうやって 僕は いつも 哀しい朝を 過ごすんだ 。