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□幼い記憶
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「アレン!?」

「そうですアレンです!!久しぶりですねー!!」





この時、ぼくはこの上なく嬉しかった。


また花音に会えたことに、話せることに触れられることに。





ぼくは花音を幼い頃から知っている。


あの師匠と一緒に旅をしたんだから当然だ。



でも花音は可愛い。

師匠でさえもたまに手を出してしまうんじゃないかってくらい口説いていた。

子供には手を出さないっていってたのに・・・イライラ。



でも花音は、
そんなの気にしてなくって・・・というより気づいてなくて。


少し安心した。



だけどそんなとき、ぼくがこの気持ちに気付いたのは花音が去る前。

つまり、花音が旅立つまえだ。



ぼくはただ悲しいとうより信じられなくて、

いつも一緒にいた花音がいないから信じられなくて、ただただ泣いた。


今思うと情けない。






それに、・・・別に付き合いたいとかじゃなかった。





側にいてくれるだけでよかった。


だけど。


花音はぼくの前からいなくなったんだから何度も師匠に言った。





どうして花音を行かせたのかと。

師匠はぼくの気持ちに気づいていたらしく。


ぼくと花音のためだと。


いづれまた会えると。


そう言った。


それこそ最初は納得いかなかったものの、ぼくはその言葉を信じて今までやってきた。



そして、黒の教団に入り花音が現れた。



でも。






「オレ、ラビさっ♪よろしく〜」

「神田だ」





この二人。



絶対に花音に気がある。


神田は分からない。

少し興味をもっただけかもしれない。

でも、お姫様抱っこって普通しないでしょ。



ラビは完璧に花音が好きだと思う。


昨日だって・・・

ラビと花音が二人で話してて、嫉妬でいらつく顔を誤魔化し花音に聞いてみると。





「え?内緒ー ふふっ」



ラビ



「内緒さー♪オレと花音だけの話だもんな!」





ラビをぶっ飛ばしてやろうかと思った。


リナリーが居たからしなかったですけど。




とにかくあの二人は油断できない。


そういえばティキも何か言ってた気がする。


花音は可愛いからモテる。


だから、困るんだ。




いっそ、ぼくだけ見えたらいいのにと思ってしまう。



でも。





「アレーン!!」

「どうしたんですか花音?」

「ねッ、イタズラしない?」

「イタズラ?」

「うん!!ラビのご飯にチョコ入れとくの!」

「え、チョコ!!?」

「うん♪今日のラビのご飯はねェ・・・ふふっハンバーガーとコーラなんだよ!!コーラにチョコたっぷり♪どうッ?」


「面白そうですね・・・!!やりましょうか!」




さっきのお返しと思ったことは秘密で。






「うんッ☆」





イタズラは花音の趣味。


たまにラビとかと一緒にやるみたいだけど一番多くやっているのはぼくだ。





「なんだこれ!甘いさ!!!コーラが甘いさぁぁぁあああ!!」

「やったあ!!大成功☆やったねアレン!」

「はいっ」





この時の満面の笑みの花音の顔はぼくだけのものなんです。


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