D.Gray-Man

□第一話
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「と、遠い・・・!」







私、美谷花音はとある場所に向かって旅をしている。


師匠クロス・マリアンに行けといわれたからには行かないわけにはいかないんですよ。








「黒の教団ってこの山を越えて、だよね?」







そう。


師匠から言われた場所はこの山を一つ超えてその次の山を登ったとこにあるという。





そして問題。

山を一つ越えるのにはどうしても二日はかかるんですよー



師匠と別れてから約一年。



もしかしたら、あの師匠に限ってあるか分からないけど紹介的なのを黒の教団とやらに送ってくれているならば

早く行かないと黒の教団の人たちに迷惑がかかってしまう。





しっかし、まあ


師匠だからそれはないのかな。







「ふう。やっぱり今日は山越えるのは止めておこ」






大分日が暮れてきたし、見知らぬ土地だし?



歩いてたら町ぐらいあるだろう。



そしてわりとすぐに町が見えてきたのだった。











「すいませーん」






適当に宿屋を探し入った。


受け付けに誰もいないなんて大丈夫かこの店?







「すいませーーん!!」






どたたた





「おやまお客さん!?すいませんねえ人手が足りないもので」





奥から出てきたのは気の良さそうなおじいちゃ―ご老人





「あの、今日泊まりたいんですけどお部屋空いてますか?」


「はい大丈夫ですよ。お一人様ですか?」


「はい。」





にこりと笑ってではこちらへと部屋に案内してもらう。



人がいいなあだなんて








「この部屋になります。ゆっくりしていって下さいな。食事は下に来てくださればありますのでね!」


「ありがとうございます。あの、お風呂ってありますか?」





実は昨日は野宿をしたので、その、体を洗えていない!

不愉快きわまりないしなにより髪の毛が気になるんだ!







「あぁ、ありますよ!すいやせん、うちは男の客が多いもんで・・・三階に上って左手まっすぐいけばあります!」


「わかりました。ありがとうございます!」


「では、ごゆっくり。」





良かった良かったー




に、しても




さっきからいい匂いがするのは私の気のせいか?




お風呂入るのが先なんだけど



なんだけど!





「とりあえず、ご飯食べよう!♪」





空腹には勝てませんよね☆



私は急いで下に降りた。



すると、食堂みたいなところからとてもいい香りがする。







「うっわぁ!いい香りー!」


「ん?あれ、女の子じゃねぇか?めずらしいな?」


「あら、旅の方だ。気安く触っちゃいかんよ」


「へー、一人で女旅か?」


「は、はい。まぁ、そんなところですかね」


「ほれみろ、ムックのせいで怯えてるじゃないか」


「あ、ワルいワルい。勘弁してくれな」


「いいえ、怯えてなんかいませんよ!にぎやかでいいですね!」


「そりゃそうだろうよ、ここはこの町一番の宿だ。みんな泊まれば仲間だ。」





ピキッ


「仲間?あはは。いいですね、そういうの!」


「お嬢ちゃんも仲間だ。」


「は、私もですか!?」


「あぁ!さっきオレは泊まったやつはみんな仲間だと言った。だからお嬢ちゃんも仲間だ。」






泊まっただけで、″仲間″?



はっ、笑っちゃいそう。








「、仲間ですか」


「おぅ、あったりまえよ!女だろうと男だろうと子供だろうとな。それがここの宿の決まりってとこか?シトロ?」


「はい、ここはみなさまにくつろいでいただける場、皆様方楽しければ、私らも楽しいでございますよ。」


「ハッハッハ!だってよ!ほら、お嬢ちゃんも食べなっここの飯はサイコーにうまいから!」

「(くだらない)」






私の今の笑顔は偽物。



初めて会った人にさケンカ売っても仕方ないし話に乗っておけばまあいいんじゃないって感じ。




仲間だとか友だちだとか、笑ける。














―――ああ でも


少し、昔を思い出した。






こうやって温かい食事を囲んで

笑顔で笑って食べて他愛もない話をして。







「いただきます」







私は目の前にあるご馳走を頬張ばった。


どれも、全部美味しくて・・・心?がこもっててあったかかった。

これが、おふくろの味ってやつかな。


ちょっと、心の底から笑った気がした。






気が、した










「ところでお嬢ちゃんよ。名前はなんていうんだ?」


「美谷花音です」


「オレはムックだ。こっちはカトリック」


「どうもっ」


「私はシトロです。」


「カトリックはなぁ、俺の大切な友達なんだ。オレは家がねぇからな。ここで住まわせてもらってる。んで、カトリックも一緒ってわけだ。」


「へー、なるほど、そうなんですか・・・」


「シトロはこの宿の人だ。夕食作ったのこの人なんだぜ!」


「え。ホントですか!?すっごく美味しいです!」


「ありがとう!いやあそういってもらうと作りがいがあるねえ」


「で、オレはここの用心棒ってとこさ。」





ぽいね。

普通の女の子なら一発でひねられそうだけど。

まっ、私は普通じゃないからね!






「あれ?じゃあ、カトリックさんは何を?」


「オレは雑用かな。手先が人より器用なんでね。布団とか作ってるよ」


「へーすごいですね!」


「それでオレらはここに住まわせてもらえるっちゃぁ安いもんだぜ!」


「あぁ。メシも美味いしな!」

「おうよ。あ、そうだ花音お嬢ちゃんはいつ風呂に入る?」

「あっお風呂!!」


「オレら後ででいいから少し休憩して行きなよ」


「え、いいんですか!?」


「あったりまえだ!男女は関係ねぇとは言ったが風呂とかは別だゆっくり温まってきな」


「わあっありがとうございます!」





やったあー!


いい人たちかも。


仲間って思ってくれてるのは置いといて、先にお風呂に入っていいだなんて心が広い!!




そうと決まれば






「ではっ、お言葉に甘えて入ってきます!」


「行ってらっしゃい!あ、一応言っておくけどオレら覗きとかしないから!」


「あは、」






まぁ、覗きとかしたら死ぬよ?





食堂を出ると一気に静かになり、


一階から三階まで駆け上がり風呂場について私は湯船につかった。



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