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□ちょっとお願いがあるんだけど
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「チッ」





イライラする


あのクソモヤシのせいで。







「神田!何怒ってんの!ねえ!」


「うるせェ黙れ」


「もー。」






さっきから俺の周りをちょこまかとついて来ている花音


何の悩みも無さそうな面しやがって







「花音が原因だっつーの」


「え?なに?」


「大体何でオレに付きまとう?モヤシに戦い方教わってんならそっちに行けよ」


「え?アレン?うん、アレンともよくいるよ?」


「ああ?」


「優しいんだよ、アレン!みたらし団子分けてくれるし」


「もうお前それ以上喋るな」


「何で!今日神田おかしいよ?」


「いいから喋るな。そして付いてくるなよ」


「どうして?」


「うるせェ」


「かっ、」


「それ以上喋ると口塞ぐぞ鈍感チビが」


「!?」


「ふん。」









顔真っ赤にして、トマトかっつーの。


今にも湯気出しそうだぜ



もうあいつの言葉に振り回されたくない


これ以上オレの感情を掻き回すな








「待って!!」


「?」


「ストップ神田!」


「だから、喋るな―」


「じゃあ、してよ、」


「は」


「今喋ってるよ?ほら、口塞いでよ。」


「はあ!!?」


「しないの?神田。しないなら私からするよ?」


「ちょ、ちょっと待」


「待たない」







予想外の出来事


オレはこっちへ近づいてくる花音に気が動転して後ずさりする







「なっ」





ドンッ






生憎後ろは壁だった


花音はすぐそこまできていて、



何故か足を引っ掛けられ尻餅をつく





は?マジでなんだこれは?








「神田、ほら、つーかまえた」


「な、な、」







いつもはオレが花音を見下ろしている



なのに今回は






「神田見下ろして動けなくしているなんて、滅多にないね、これ!」


「お前この腕どけろ!立ち上がれねェだろうが!」


「やだな、そのためにしているんだよ神田」


「っ、」


「やっと捕まえた、神田。今回は逃さない」








ああダサい


こいつを蹴飛ばして怒鳴り散らせばいいはずなのに

それができない







「それ以上顔を近付けるな!!」


「ダメだよ神田、ほら、ここだと私の声がよく聞こえるよ?」


「ちょっ、」


「耳、どう?」








嫌でも入ってくる花音の声

それ以上に意識してしまうのは花音の吐息






「やめろっ、」


「神田こっち向いて」


「は!?」







気が付くとオレと花音の間は僅か1センチ



目が見開かれるのが分かった。





後ろは壁


下は床


オレの足の間に花音の太もも


横には腕


そして間近には花音の色っぽい顔




逃げられない、本気でそう思った







「ねえ、神田?遊びで神田と色々してたわけじゃないよ?アレンのことだって、ヤキモチ焼いてもらうために言ったのに…私が我慢できなくなっちゃったよ、」


「花音、」


「キス、してもいい?」







この状況で、花音の気持ちを聞いて、世にいう両思いってやつで








「ああ、」







断るなんてことはできない。


いや、その選択肢はありえないんだよ、









チュ



「ん、」


「は、花音っ、」








最初は唇だけ、だが、段々深くなっていく口づけ






「んんっ神田、あ、」


「っ、花音」


「ふうっ、ん、」





クチュ、チュッとリップ音がなる






終わったあとは軽く息が切れていた








「神田」


「お前何今更赤くなってんだよ」


「だだだだだだって」


「はっ、まさか花音にこんなことされるとはな」


「スミマセンデシタ」


「いいぜ。倍にして返すから」


「!?」


「これからはそういうコトしてもいい仲だろ?なあ、」


「え、う、あ、はい、」


「覚えとけよ花音」


「っ、!! 」



「次はオレがしてやるから、覚悟しろ」
















花音にされたこと、それが

壁ドン



っつーことは、後からリナとモヤシとバカウサギから聞いた。




あの時のあいつらのニヤけた顔、絶対忘れねェ!!!!






まあでも、花音がオレのものになったってのは事実だし良しとする。









最高だ。















end
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