D.Gray-Man

□第三話
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私は目を見開いた。


だって、今私の目の前にいるのは―






「な、あ、ミ、ミッド!!?」


「やあ、久しぶり。オレの花音」





信じられなかった。


ミッドは、確か、数年前に死んだはず。

というか、行方不明になって消えて、


そこからの消息は知らない。







「っ、な、んでアンタがここにいんのよっ!!?」


「えーーー。花音、せっかく会えたのに冷たいなあー。」


「来ないでよ!!この変態!幽霊!」


「花音がそんなこと言うとオレ泣いちゃうよ〜」





するとミッドはあからさまに手で顔をおおって泣くふりをした。



私はまだ気持ちの整理がついてない。




あれ?




待てよ?

私なんか大切なこと忘れてるような気がする。






「いやあでも、花音の唇は前と変わらず甘い♪」






はあ!!!?

こっ、こいつっ!!!





「な、にすんのよ!!」





バチンッ



辺りに素晴らしいほど音が響いた。






「痛ってぇ。んだよ、オレらの仲じゃん」


「うっさい!!最低!!ありえないよ、バカ!!」





私はキッとミッドを睨み付ける。





「おー怖い」






全くそんなの思ってないな。






「花音、ところでこのお祭り何か知ってる?」


「何よ急に。恋仲づくり?」


「そう!その通り、ピンポンピンポン!」


「だから、何?」


「オレたちがここで再会したのも運命だし、恋仲に」


「ごめんなさい。」


「ちょ、いきなり!?」


「いきなりキスしてくるやつなんて無理」


「オレは花音のそういうところが大好きだよ」


「へ、へー」(ゾッ)





黒い。



ミッドが黒い!!






「ところであちらから、オレに殺気を向けているのはどちら様?」


「え?」






後ろを振り向くと、ものすごい血相で、眉間にこれでもかってくらいにしわがよってて、






「ああーん、待ってぇ、神田様ぁ」






あのお色気たくさんのお嬢様を連れた





「おいてめぇ、花音を離しやがれ」






神田ユウが居ました。






「君誰?」






殺気満載の神田ユウにミッドは怯みなく、もはや笑顔で聞いた。






「るせぇ。離せっつってんだ」


「嫌だね。花音はオレのものだ」


「ああ?んなもん誰が決めたんだよ」






ものっすごい怒りようの神田ユウと

ものっすごい笑顔のミッド



か、神田ユウの後ろに鬼が見える!!?

ミッドはなんか分からない黒いオーラ!?





「(こっ、怖い!)」






二人に挟まれてる私はどうなる!!






「大体お前は何だよ」


「オレ?オレはね、花音の婚約者」








ハ?



コンヤクシャ?









「そ。オレは花音の婚約者だ。な?花音?」






満面の笑みで私を見るミッドは同意を求めてるいるのでしょうか。






「ミ、ミッド?大丈夫?とうとう頭おかしくなった?もともとだけど悪化した?」


「花音ひどいーーーーー」


「や、だって、婚約者って。あはは。言った覚え一つもないんだけど?」


「ちっ、ノリで言うと思ったのに」←ボソッ






こ、怖いいいいいい!!?



舌打ち!?


ちょ、神田ユウも舌打ちするけど意味が違うくない!?






「っていうか、ミッドってあのとき死んだんじゃなかったの?」


「え!花音オレのこと死んだと思ってたの!?ひどいなあ」


「だって…あの状況じゃどう考えても助からなかった」


「、そうかな?現にオレは生きてる」


「そ、うだけど」

「いいじゃんそんなこと。それより!花音、もう一回キスしよ」


「へ?」


「なっ!!」


「ねぇ、…ダメ?」





きゅんっ




あれ、周りからなんか変な効果音が聞こえたけど気のせいかな。






「オレ、久々に花音に会えてすっごく嬉しいんだけど花音は嬉しくないの?」






上目遣いとまではいかないけど、なんという目力。


私のほうが慎重低いのに、なんか、うう。





「ね、…花音」





ミッドは私を抱きしめ、耳元で甘く囁く






「オレは花音を愛してるんだぜ?花音はそれに答えてくれない?」






一瞬、心臓が高鳴った。


だけど。






「なッなに口説いてんのよ!残念だけど私はそんなんじゃミッドのことは好きにならないよ。残念でした」







私に甘く囁くミッドになんとか満面の笑顔で返してやった。






「やっぱりこんなんじゃ無理、か。花音は可愛いね」





あ、あぶない。



一瞬本気でドキドキした。






「そういえば君、名前なんていうの?」


「あ?」


「名前だよ名前。分かんないの?」


「んだと!?てめぇ、オレをバカにしてんのか」





ああ、不機嫌MAXの神田ユウに!!


何してんのよ、ミッド!


火に油注いじゃったよ!





「なんでてめェなんかに言わなきゃなんねェんだよ。あ?」


「オレが知りたいんだよ。わざわざこっちから聞いてんだからさあ。早く言ってくんない?」


「ああ!?てめぇ、ふざけんのもいい加減にしろよ!さっきから聞いてりゃあ人のことバカにしやがって!!」


「オレは思ったことを言ったまでだよ」


「黙れ!!花音にも馴れ馴れしいんだよこの女たらしが」


「は?女ったらしはどっちだよ、さっきから女の子つれてるアンタのほうが十分女ったらしなんだよ、このロン毛」







ゴオッ←怒りの炎





「もういっぺん言ってみろ、六幻の餌食にしてやる」


「むげん?そんなことどーでもいいけどこれだけは言わせてもらう。花音とオレは小さい頃から一緒にいるんだ。」


「は?だからなんだよ」


「君もさっき見ただろ?オレと花音がキスしたとこ」


「っ、ああ。」


「つまり、花音とオレはそういう関係。分かったか?お前が付け入る隙はないぜ」

「て、めぇ…、」


「え?なに?何神田ユウに言ってんの?」


「別にい。オレと花音は付き合ってるって言っただけ♪」


「え!?ちょ、は!?何勝手に宣言しちゃってるの!?」


「だって花音はオレのものだろ?」


「違う違う!!」






神田ユウを見たら、一瞬傷ついた顔をした。


それを見た瞬間私のなかで何か分からないものが沸き上がって、自分でも必死に否定した。







「私とミッドは付き合ってない!!付き合ってないよ!!」


「…」


「っ、私とミッドは小さいとき、家が隣同士でパパ同士が仲良かったの。それでいっぱい遊んだりして私たちも仲が良かった」


「へえ」


「けど、」


「オレたちは付き合った」


「っ」


「ミ、ミッド!」


「何?言ったら何か問題あるの?」


「え」







【神田ユウには知られたくない】


そう言えたら、どんなに良かっただろう。


だけど心ではそう思ってていても口では素直に言えなくて。






「べ、別に困んないけど?」






これほど自分を恨んだことはなかった。


素直になることがこんなに難しいなんて、

言いたいことが言えないなんて、






「じゃあ、言ってもいいよな?」


「…ん」






否定できない自分も、

辛いって思ってる自分も、





私は知らない。








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