小説《カコベヤ》

□仁美の決意
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 《仁美の決意》


最近、陽菜ちゃんの様子がおかしい。
何か考えてため息をついたり、話しかけても上の空だったり。

少し前、ゴールデンウィークの頃、陽菜ちゃんと全く連絡がとれなくなったことがあったっけ。
その時の不安な感じとはちょっと違う気がするんだけど。

「陽菜ちゃん、最近なんかあった?」
「え?どうして?」

香港広場で、マンゴージュースを飲みながら聞いてみた。
だってやっぱり気になるもん。

「考えごとしてること多いし。あ、もしかして好きな人ができたとか」
「え、えっ!?」

冗談まじりに言ったのにっ。
なんで、陽菜ちゃん真っ赤になっちゃうの!?
まさか…まさかでしょ!?
嘘でしょ!!??
冗談よね、私の陽菜ちゃんがっ!?

「まさかまさか、付き合ってる人が出来たとか言わないよね!?」

そうしたら陽菜ちゃんはちょっと困ったように、でも更に赤くなって私を見た。

「ごめんね、仁美。隠してるつもりはなかったんだけど……」

照れたように言うけど、私の頭はすでに思考停止。
誰よ、誰よ!私の陽菜ちゃんにこんな顔させちゃう奴は!!??
酸欠の金魚のように口をパクパクさせて何も喋れない私に、陽菜ちゃんはにっこり笑って言った。

「仁美に言えなくてちょっと後ろめたかったの。…よかった。今度ちゃんとに紹介するね。名前はね…」

陽菜ちゃんに付き合ってる人!陽菜ちゃんに彼氏!!陽菜ちゃんに恋人!!!
ううっ、どんな人にしたって…っ!

「陽菜ちゃんにふさわしい人か、私が見極める!!」
「ええっ!?」

そう、私の認めた人じゃないと絶対ダメなんだから!

私は新たな決意を胸に誓った。

END?

2008.4.20 野宮 拝



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