小説《カコベヤ》

□苛々
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放課後の正門前で話し込んでいるのは、普通科2年加地葵、土浦梁太郎、日野香穂子、そして天羽菜美の四人。

「あ、天羽さん。僕その店チェック済み」
「え!?もう!?さすが加地君。で、どうだった?」
新しいカフェの開拓に余念がない。

「雰囲気いいし、たぶん女の子は好きだよ」
「いいなあ、今度行こうよ、菜美ちゃん」
「凄いな、加地。駅前の店ってまだオープンしてから日が浅いはずだよな」
「僕としては好きな女の子をお気に入りの店に連れて行きたいと思うのは当然のことなんだけど、土浦は違うの?」
「…マメだな、加地」

土浦が半ば呆れたように言った。

「加地君の彼女になる子は幸せだね。素敵な場所に沢山連れてってもらえて」

無邪気に日野香穂子は言った。

――それをあんたが言うか、香穂…。

親友のあまりの鈍さに天羽菜美はそっとため息をついた。

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