□one day
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「暇アル」
「唐突だな。なら定春と外にでも行ってくりゃいいだろ」
「嫌ヨ、外は狼達の縄張りネ」
「誰だ、んな馬鹿な知識お前なんかに教えたの」
「銀ちゃん」
「そうだっけか?」
「そうヨ、銀ちゃんが私をこんな人間にしたネ。責任取ってヨ」
「わかった、じゃぁ責任取って俺の机にあるアメちゃんやるから外行ってこい。銀さん今忙しいの!」
「私と仕事、どっちが大事なのヨ!」
「俺が一体誰の為に働いてると思ってるんだ!全部お前たち家族を養う為だろう!て俺お父さん!?」
「ほら神楽ちゃん、今銀さん珍しく本当に忙しいから邪魔しないであげて」
「ねぇ新八君?人を駄目人間みたいに言うのやめてくれる?」
「わかりました。じゃ、銀さんの年に3回あるかないかの忙しい時だから邪魔しないであげて」
「新八君は銀さんの味方で良かったかな?」
「何言ってんですか、僕はいつでも銀さんの味方ですよ」
「目が全くそう言ってねぇんだけど」
「例え銀さんが僕のお通ちゃんマグカップを割っても僕は銀さんの味方です」
「・・・待て、待て新八。あれは事故だったんだ、わざとじゃなく」
「銀ちゃーん、暇ぁー!」
「ちょっと黙ってろ神楽!今は新八の誤解を」
「誤解も何も、銀さんが割った事は事実じゃないですか!」
「わかった、俺が悪かった謝るごめんなさい。だからその箒を下ろしなさい。何だか凄く悪い予感がする」
「こんな・・・、こんな壺の修理なんて依頼受けてる暇があったら僕のマグカップを元通りにしてくれればいいんだ」
「いやしかしこれ期限が今日までだから、依頼人もう少ししたら取りにくるから!ほらもう時間ないから頼むから俺に仕事をさせてくれ!」
「僕の宝物よりそんな壺が大事だって言うんですか!」
「私よりその壺の方が大事だって言うアルか!」
「そんな事言ってねぇだろ!神楽は話をややこしくするんじゃねぇ!」
「こんな壺なんてっ壺なんて!!」
「新八お願いやめて!神楽ァ新八を抑えろォ!!!」
「ルージャ!」

勢いよく新八を抑えにかかる神楽の右足は、
勢いよく卓上の壺を蹴った。

「「「あ」」」

吹っ飛ぶ壺。
ガシャン、と音を立てて粉々に砕け散る壺。

「「「あああああああああ!!!!!」」」




3人の断末魔が響き渡る昼下がり。
素知らぬ顔の定春は、1人ぬくぬくとまどろみの中。
幸せそうに閉じた瞼をチラと開けて、呆然と立ち尽くす主人達を見ると、くぁ、とひとつ大きく欠伸して再び瞼を閉じた。





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