Short Storys
□ネット☆らぶ
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三日前のギルドHPのトップ画面に、お茶会のご案内が出た。
『毎月恒例!!お茶会開催日けってい☆
七月七日 20時より
みんな集まれ〜!!』
「へ〜。お茶会とかあるんだ〜」
でも…どこで?どうやって?私の頭には?だらけ。
HPの中をうろうろする。
そしてようやく、『お茶室』という場所を見つけることができた。
「もしかして、これ…?」
…チャットルームだよね。…チャット…ちゃっと…ちゃっ…だから、お茶室。
「…なるほどね…」
感心しつつもちょっと呆れる私。
「七日は土曜日だし、次の日部活とかも無いし、参加してみようかな」
私は、BBSにお茶会参加希望と書き込んだ。
と、ロシナンテさんの書き込みに気づく。
『【ロシナンテ】
七日はちょっと用事を済ませてくるので、22時くらいになるかも…』
「ロシナンテさん遅くなるんだ…」
その書き込みを見て、テンションがめちゃめちゃに下がる私が居た。
そして、七日。
「ねぇ、鈴木〜!!」
「な〜に〜!?」
あ。失礼。鈴木って言うのは、『ユ〜ナ☆』こと『鈴木結菜』のこと。いま、同じクラスの相沢拓海に呼ばれたんだ。
「何帰ろうとしてるの?」
私の机の前までやってきた相沢君の顔が怖い。
何そんなに怒ってんの?
私の頭の上に?が浮かんでるのを見て、相沢君が深々とため息をつく。
「何よ」
私はムッとする。
「もう。今日は学園祭に向けて話し合いがあるって、昨日先輩が言いにきたよね?」
その言葉にフリーズしてしまう、私。
「やっぱり忘れてたね〜。…君って人は〜」
相沢君が呆れて言う。
「とりあえず行こう!」
私達は会議室となっている、視聴覚室へと走った。
現在、19時。
私は今何をやっているかというと、ジュースとお菓子と…パンやらお弁当やらが一杯に入った袋を抱えて、学校までの道を歩いてる。
私の隣には、相沢君。
彼もまた同じ様に買い物袋を下げている。
私も相沢君も無言。てくてくと歩く足音だけが響く。
相沢君の顔、仏頂面。
か〜な〜り〜、怒ってる。
これ、おしおきだから。
結局、会議に遅れちゃったんだよね。
その会議もありえないくらい白熱して、その上学園祭実行委員の親睦会をやろうという話にもなって、こんな時間に…今日、土曜日だよ?
はぁ〜、ついてないな。もぅ、お茶会始まっちゃうよ。
あ、しまった。ため息、しっかりついちゃった。
相沢君の視線を感じる。
そろ〜り振り向くと、相沢君のキレイな眉が寄っている。
それを確認して、またさりげなく視線を外す私。
「これ、君のせいだよ?わかってんの?」
それにもカチンとしたのか、ついに相沢君が口を開く。
う、怖い。
相沢君っていつもは、優しく微笑んでなんかいるから、ものすごく怖く感じる。
キレイな顔してるから、さらに怖さ倍増。
ま、人気あるのもわかるよ?この実行委員なんて相沢君と一緒ってことで普通に決めてたら、女子の方って決まらなかったと思う。
どうやって決めたか?
くじ引きよ、くじ引き。
…そういえばこの人も、ジュエルやってたっけ…
「ねえ、聞いてんの?」
そんなことを考えていると、相沢君が静かに問う。
静の怒りって怖い。
「ごめん〜。だって、こんなことになるとは思わなかったから」
私の言い訳にため息をつく、相沢君。
「甘いね。三上先輩が実行委員長なんだから、これくらい読んでないとだめだよ。というか、むしろこのくらいで済んで良かったって感じだよ?」
相沢君がニヤリと笑う。
そっか〜。あのお祭り大好き三上先輩なら、ここまで考えとくべきだった。
ということは、今日お茶会出れないじゃんっ!!
ロシナンテさんにも会えないよ〜(泣)
「?」
落ち込んだ様子の私を見て、相沢が首を傾げている。
なんとかして早く帰らなきゃ。
「早く終わらせて、早く帰ろう!!もう、19時だし!!ねっ!?」
早口そして怒鳴るように、私は相沢君に向かって言った。
その様子に面食らった表情の相沢君。
そんなの気にしてらんない。
ロシナンテさんに会えるかが、かかってるんだからねぇ〜?
その後、ダラダラと仕事をする三上先輩たちを放って、サカサカと仕事をこなし、終わらせた。
でも終わったのは、21時。
よくやった自分!!
教室から出ると後ろから呼び止められた。
私はグリンと振り返って、後ろを睨みつける。
「うわっ。何つ〜顔してんだ」
そこにいたのは三上先輩。
さっき女子の先輩たちに、長い前髪をにゃんこのゴムで縛られたせいで、そこが先輩の動きにあわせて、ビヨンビヨンしてる。
「何ですか?」
はっきり言って、めんどいのに捕まった。
早く帰んないと、お茶会が〜(泣き)
「そんな睨むなよ。…あのさ、今日一緒帰んね〜?」
三上先輩の顔がなんか赤い気がする。
視聴覚室からはギャイギャイという騒ぎ声が聞こえる。
「三上〜!!どこだ〜?」
中から先輩を呼ぶ声もした。
「急ぐので失礼します」
これに付き合ってたら、いつになるかわかんない。
私はそれだけ言うと、先輩に背を向けて走り出した。