Short Storys
□ネット☆らぶ
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『【ユ〜ナ☆】
こんばんわ♪
昨日と今日と連れ回していただいて、ありがとうございます☆
おかげでレベルUPとサンショットの魔法を覚えることができました。』
私はいつものように、夕食を食べ終えると自室に戻り、ギルドHPを開いて掲示板に書き込む。
joyfull!!に加入して、もうすぐ二週間が経とうとしていた。
この二週間、学校が終わった夜にゲームをしている。
だって、学校ですると私がゲーム始めたことバレちゃうから。
だからまだ皆にはこのことは内緒のまま。
この名前でバレちゃうかもって思ったけど、全然大丈夫みたい。
皆は学校でもやってるけどね。
このゲームを始めて、クラスの子が使ってるキャラクター名のキャラが私のキャラの横を通り過ぎたりとか、冒険に誘われたりとか、結構ニアピンしてるんだけど、案外気づかれないもんだね。
まぁ、このゲーム自体結構加入者が多いみたいだから、無理ないのかも知れないけど。
気づかれないなら気づかれないで、なんかちょっと複雑。
…どっちだ私。
いつものように掲示板書き込みの後に、ゲームを開始する。
「あれ?メールが来てる」
それはゲーム内で使われる、ミニメール。
本当に携帯にメールが来たときみたいに、メールマークが点灯する。
これ、はじめて見た時びっくりした。
こってるよね〜。
メール画面にする。
『【ロシナンテ】
こんばん〜。
今日良かったら、一緒にミルミル村まで行かない?
ログインしたらメールちょうだい。』
「おおっ!ロシナンテさんだっ!」
私はウキウキとしながら、了解のメールを送る。
それから、ゲームの中の魔術の先生の授業を受けたり、魔法の習得をしたりしているとメールマークが点灯した。
「ロシナンテさんかなぁ」
私はにんまりしながら、メールを開いた。
メール画面に切り替わる。
『【ロシナンテ】
お〜。いらっしゃ〜い!じゃ、行くか〜。』
そのメールの後に今度は爽やかハゲ(校長)からメールが届く。
開くとロシナンテさんからの冒険のお誘いだった。私はOKして送信すると、学園から外に出た。
玄関のところにロシナンテさんのキャラクターが立っている。頭のところには『ロシナンテ』と名前がふよふよしていた。
メールが入る。
『【ロシナンテ】
じゃ、行こうか』
『【ユ〜ナ☆】
うん。よろしくお願いしまっす!』
私達は学園を後にした。
ロシナンテさんの後ろにくっついて、ミルミル村を目指す。
こんな感じで、私とロシナンテさんは時間が合えば、よく一緒に冒険していた。
ロシナンテさんとはjoyfull!!で知り合った。
このゲームってすごいよね。冒険中でも普通にメールでチャットみたいにお話できるし、文章も、もちろん定型のものもあるけど、字数制限こそあれ、自由に打つことができる。
ホント自由。
皆がはまるの分かったかも。
そんなことを考えていると、メールマークが点灯した。
『【ロシナンテ】
こっちのほうは、ちょっと敵強いかもしんないけど、第三章はこっちに向かわせるはずだから』
そうなんだ〜。
彼はjoyfull!!の中では、というかこのゲーム自体も結構古くから居るみたい。
だから、レベルの低い私と一緒に回っても得なんて無いのに、こうしてよく誘ってくれる。
前にレベルの低い子気絶させたら、自分の経験値が上がるっていうのも聞いた事あるけど…彼はそんなことせずに回復をかけてくれていた。
私のシナリオも第一章が終わり、第二章も終盤に差し掛かっている。
シナリオ上はミルミル村とは学園を挟んで反対側のリュープ村に住む、水龍の巫女姫様の探索をしている最中。もうどこに居るかは分かってるんだけど…そのボスキャラがムカつくくらいに強いんだこれが。
あ、そこの人、ロシナンテさんに一緒に来てもらえば良いじゃないかと思ったでしょ?
そうはいかないのよ!!
シナリオに関連したところへ行こうとして、ロシナンテさんを誘おうとすると規制がかかるんだ。これが。
シナリオに関連したとこに同行できるのは、同じ位のレベルの人だけ。
もうこれは実践済みだから、確実。
何よ。ズルイっていうの?
それはわかってるもんっ。そして、ロシナンテさんにもこのことは怒られた。
ほんのちょっと。注意みたいな感じだけどね。
んで、私も反省したのよ。ホントよ?
『【ロシナンテ】
それに、こっちにいって少しでもレベル上げてたら、ボスキャラ倒すのも楽になると思うよ』
「おおっ。ロシナンテさんわかってるぅ〜♪」
私はロシナンテさんの一言一言に一喜一憂。
『【ユ〜ナ☆】
わ〜い♪いつもありがとうございます♪』
『【ロシナンテ】
いつもみたいに、敵はユ〜ナが頑張って倒すこと。ちゃんと回復するから、気にせず突っ込め(笑)』
『【ユ〜ナ☆】
は〜い(^o^)/』
ロシナンテさんはいつも後方支援。もう本当にやばいときにしか攻撃はしない。前に攻撃しないのか聞いたら…
『それじゃ、レベルいつまで経っても上がらないよ?それでもいいの?』
と、ホントに何か、きょとーんとした感じで返された。
実際会って話してるわけじゃないけど、ホントそんな感じ。
優しいような冷たいような…
でもほんとに冷たい人ならこんなに助けてくれないよね?
ロシナンテさんに大感謝。
そうこうしていると、目の前に敵出現。毒針ネズミ二体ととコブラーラ二体。
ロシナンテさんのスキャンのお陰で、敵のバロメーターが出ている。
…レベル低いけど、四体相手か〜。
何にしようかな〜。
やっぱ覚えたてのサンショット?対一体ものだけど…やっぱこれでしょ。どんくらい威力あるんだろ?
私はサンショットを選んで、コブラーラその1に向かって魔法を唱える。
じゅっ。
あ。焦げた。
『【ロシナンテ】
良い色に焼けたな〜』
ロシナンテさんがつぶやく。
コブラーラその1、サンショットに倒れる。
ロシナンテさんの番。いつものように攻撃はせず、バリアを張る。
敵キャラの攻撃。
ロシナンテさんのお陰で無傷。
もうめんどくさいので、カエンジン(全体攻撃)を唱える。
あっという間に、敵キャラは霧散した。
あれ?思ったより早く終わったな。
『【ロシナンテ】
強くなったね〜』
ロシナンテさんからメールが入る。
「やった。褒められた」
『【ユ〜ナ☆】
私も自分でびっくりです♪』
『【ロシナンテ】
レベル一気に上がったもんね〜。追い抜かされちゃうかも(^v^)』
『【ユ〜ナ☆】
もぅ、連れ回してくださってる皆さんのおかげです♪それに私なんてまだまだですよ(^^)』
『【ロシナンテ】
ユ〜ナが頑張ってるから、皆も助けてくれるんだと思うよ?俺もできる限りは協力するから、言ってね?』
『【ユ〜ナ☆】
は〜い。よろしくおねがいしま〜すノシ』
私とロシナンテさんはミルミル村へ再出発した。
途中いろんな敵に出会いながらも、二人はようやくミルミル村に着くことができた。
『【ユ〜ナ☆】
到着☆ありがとうございました』
『【ロシナンテ】
はい、着いたね〜。おつかれ』