Short Storys

□Forbidden
2ページ/11ページ

「お…にい、ちゃ…、もう…ゆ、ゆるしてぇっ…」
 
 ギシギシと軋むベッド。
 波打つ、薄桃色のシーツ。
 シーツの上を這う、黒い髪。

 ギシリ…
 音をたてて紅潮した白い手が、浅黒い、ゴツゴツとした腕を後ろ手に掴む。

「きゃっ…」
 男は乱暴に白い肩を掴むと、体を反転させる。

 女の顔が、露わになった。

 まだ、少女に見えるその顔は、恐怖に震えて、涙でぐしょぐしょになっていた。

 男は、それを見て妖しく微笑む。
 自分が欲情しているのが、分かった。

「も、…や、めてぇ…」
 少女が、懇願する。
 男は、少女の頬を軽く撫でると、
 挿入した。

「いっ! …いやぁあ!」
 
 部屋の中に、少女の叫び声が響いた。


―篭った匂い。
 揺れる肩。
 くぐもった泣き声。

 男は少女の肩に手をかける。
 ビクリと少女の体が震え、ヒュッと笛を吹くような声を漏らした。
 男は少女を見下ろすと、その濡れた頬に口づけを落とす。
 そっと離れるが、少女は男の方を見ようとはしなかった。
 男は少女に背中を向け、妖しく口元を緩ませると、部屋から出て行った。

 くぐもった泣き声が、その部屋に満ちた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ