TMNT

□だから俺は
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君は人間で、

       俺は亀。

永遠に結ばれることは無い。


  だから俺は

『レオナルド、どうかした?』
「…メイ、いや、ちょっと考え事をしてたんだ」
『そうか?何か悩みがあるなら俺に言えよ?俺はいつでもお前の味方だからな』

ああ、何度この言葉に救われただろう。メイは随分前から俺達と一緒にいる。それこそ何で一緒に暮らしてるのかわからないくらいに。


「ありがとう、メイ」

『いいってことよ』


そして特に俺は昔からメイといることが一番多かった。そのせいか、俺達は言葉を交わさずとも互いのことを理解できた。
最もさすがに俺の気持ちには気づいてないようだが。でも俺はなんとなくメイが誰を想ってるのかわかっていた。それは単なる自惚れでしかないのかもしれないけど。


ある日エイプリルと二人で買い物に行くことになった。勿論深い意味なんて無い。ただ兄弟の中で手があいてるのが俺一人だっただけ。


その帰り道たまたま散歩に出てたメイに会った。


『エイプリルにレオ…』
「あら、メイ。どうしたのよ、こんな時間に一人で。」
『俺はただの散歩です。二人は…?』
「私達は買い物よ。荷物が多くて大変だから手伝ってもらってたの。」
『そうなんですか…。一緒に帰っても…?』
「遅くなるかもしれないから先に帰ってた方がいいわ」
『そう、ですか。それではこれで、失礼します。』

メイはどこか悲しそうだった。



俺はエイプリルの手伝いを終えると地下の家に戻った。大分遅くなったから先生に怒られるかもしれないな。

家に入るとメイがいた。

「…メイ?どうしたんだ?こんな時間に。先生は?」
『レオ…、先生は出かけてるよ。他の皆はもう寝ちゃった。その・レオに訊きたいことがあってさ。』

なんだかさっきからそわそわしててこっちまで落ち着かない。

「なんだ?」
『その…‥、レオナルドってエイプリルのこと好きなの?』
「!!」

驚いた。まさかそういう質問がくるとは思わなかったから。

「なんで…」
『あの・今日二人で買い物してたじゃん?それで、その…』
「ああ、あれか…。そんなわけ無いだろ。俺は他に大事な人がいるんだから。」
『え』
「最もその人は随分長い間一緒にいたのに俺の気持ちには微塵も気付いていないけど。」

ああ、俺は何を言ってるんだ。伝える気は無かったのに。例え想いが通じ合っていようと結ばれることは決してないのに。それはメイもわかってるはずだ。


「…」
『…』

二人の間に気まずい沈黙が流れる。先に口を開いたのはメイだった。

『ずっと俺の片想いかと思ってた』
「…」

『…レオ、俺お前のこと』
「ストップ。わかってるだろ、俺達は結ばれない」
『っ、』

やっぱりメイもわかってたみたいだ。

お互いの気持ちを知り知られたところで何も変われない。その事実に溢れる涙を見られたくなくて、メイを抱き寄せた。

『レオ?』
「すまない、今だけだから、少しの間だけこうさせてくれ…。」
『…うん』


俺の頬を涙が濡らした。メイも泣いてるのがわかる。押し殺そうとしても殺し切れてない嗚咽が聞こえてくるから。

しばらくの間俺達は抱きしめあったまま静かに涙を流したが、離れていった。
俺達の気持ちが交じり合うことは二度と無いだろう。


君は人間で、

       俺は亀。

永遠に結ばれることは無い。


(だから俺はこの運命を憎む)
(君が人間に生まれたことも)
(俺が亀に生まれたことも)
(そして俺と君がこの世界で出逢ったことさえも)
(すべて、すべて)


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