ラムの市場
□自制心・・・【リュウガ】
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「・・・という事で、この島を北上する航路が最善かと思います。」
シンが地図を指差しながらそう言うと、リュウガは大きく頷いた。
「よし!それで決まりだ!」
リュウガが右の掌に、左手の拳をぱちんと打ち付けると、ヒロインはホっと胸を撫で下ろした。
ここはシリウス号、船長室。
リュウガとシンは、今日手に入れた宝の地図を世界地図と照らし合わせて、これからの航路を話し合っていた。
部屋のテーブルには、色々な地図が何枚も広げられている。
宝の地図に書いてある島々の位置を、それらの地図と照らし合わせて、場所を特定する。
特定できれば、現在地からの航路を模索する。
毎回の事ながら、それらは決して楽な作業ではなかった。
リュウガの声に、ふうと息を吐いたシンも、その表情に安堵感が滲んでいる。
「他のやつらには、明朝伝達する。シンも今日は休め。」
宝の地図を大事そうに胸元にしまいながら、リュウガはシンにそう言った。
「分かりました。では、失礼します。」
リュウガに軽く会釈を送ったシンがドアへ体を返す途中、ヒロインの方へ視線を移すと、ゆっくりと口を開いた。
「・・・その椅子、すっかりお前の指定席だな。」
意味ありげに微笑んだシンは、『おやすみ』とヒロインに小さく言うと、船長室を後にした。