長話
□ep6
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「隣のクラスに、転校生が来たんだって。」
「あぁ…何か聞いたな。この時期に珍しい。」
「転校生なんていつの時期でも珍しいでしょ。」
「そりゃあそうだ。………つーか…椎名…大丈夫か?」
「……ん?…痛いよ?めっさ。」
そう周防に言われた椎名の左頬は、大きな湿布で覆われていた。
「…だってクゥちゃん、全く手加減してくれないんだもん。左頬思いっきり殴られて、ちょっとだけニヤけた。」
「……今日も元気にドMでご苦労様だな。まったく。」
周防は若干引き気味に笑って、溜め息を吐いた。
「あのぐらいがちょうど良いんだよ。」
「…左顔面ほぼ湿布だけどな。」
「だって冷やさなきゃ腫れるって理苑が言うからさ。腫れんのは嫌だし〜って思って。」
「JKかお前は。ちなみに、湿布は別に冷やす効果は無いらしいぞ。よく勘違いする奴多いらしいが。」
「マジか。それじゃあ、俺もその1人じゃん。」
「まぁ、そうなるな。」
「あ、そういやさ。」
椎名は思い出したように声を上げる。
「ん〜?」
「転校生ってどんな人?」
「……俺も朝、転校生が来るっていう噂しか聞いてないから、何とも…」
「…あ…じゃあ、あいつなら知ってんじゃない?」
「あいつって?」
身を乗り出して話して来る椎名に、視線を向けて聞き返す。
「……清水(しみず)っ!!」
「清水ぅ?何であいつ?………いや…まぁ、分からなくも無いが…。」
「だって、そういうネタとか、好きでしょ?あいつ。実に新聞部らしくて良いと思うよ。」
「…………確かに…誰よりも早そうだ。」
周防は、眉間を押さえて、頭を抱えた。
「聞いてみなよ。もしくはメール来てるかもよ?」
「あのなぁ、今あっちは授業中だぞ?」
「俺らだって授業中じゃん。自習だけど。」
「かもしれないけどよ……………」
周防は携帯を開いて、止まった。
「………………あいつ………」
周防は呆れた顔で、椅子にもたれ掛かりながら、携帯を見た。
「………ビンゴ♪」
それを見て、椎名はにんまり笑った。