長話

□プロローグ
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夕暮れ。

日が傾いて、空が夜色に染まり始める。



"僕"以外、誰も居ない公園。




自分を乗せたブランコが、キィキィと軋んだ音を立てる。






おかしいな。


こんな公園、初めて来たのに。

何だか酷く懐かしい。





前も此処に、よく1人で来ていたような…



……そんな錯覚さえ感じるほど。









こんな光景を、
もう何度も見たような。

そんな気がする。







この公園は、こんなに広かっただろうか。



初めて来たあの頃の"僕"は、まだ中学生だった。






そんな気がする。








今、小学3年生の"僕"が、『まだ』中学生というのは、おかしな話だと思う。




だけど、感覚的にはそれであってるんだ。








"あの頃の僕"は、いつも1人、此処にこうして座っていた。









…………『1人』で?










この公園を使わなくなったのは、いつからだったっけ?







ふと視界に入る、この公園で1番大きな木。


その下に独り佇むベンチ。



空に月が浮かび始める。









胸が疼く。
















………ねぇ…










………僕はちゃんと…戻って来たよ…?












……だから君は……早く"俺"を見つけてよ…。




















「………やっと……見つけた…っ…。」










そう聞こえた声に、顔上げると







夜色に染まる世界の中に、息を切らして笑う









"太陽の男"が居た。












そうしてまた回り始める。









僕らの

終わる事の無い



『永遠の輪廻(-タタカイ-)』が。










(…さぁ、待ち焦がれた"茶番"でも

嬉々と始めようか。)


 
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