長話
□ep6
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「…待てやごるぁぁあぁああぁあっっ!!!!」
朝早くから、怒声が町中に轟いた。
「ハハハ…っ!!そんな殺気にまみれた怒声で追っかけられたら、待つ訳無いじゃ〜ん。バ〜カっ!!」
「椎名テメェ…ぶっ殺すっ!!くたばれっ!!」
叫んで、空夜は木刀をぶん回した。
椎名は身を翻し、木刀がぶんっ!!と音を立てて空を切る。
振り切った木刀が、道路標識に当たり、ひん曲がる。
「あはははっ!!こっわぁ〜い♪そんなん喰らったら、俺流石に死んじゃうよ♪」
「知るかぁっ!!死ねぇっ!!」
「クゥちゃんひっどぉ〜い♪」
椎名はゲラゲラ笑いながら、見事な速さで逃げ、空夜はそれを追いかけた。
「……わぁ〜…ビンビンに本調子全開じゃん。」
《……昨日のあれは何だったんだ?》
「さぁ〜?」
理苑は呆れ顔で、肩を竦めた。
「多分………昨日のアレとは違うと思うけど…」
呆れた目で2人を眺めながら、周防は呟いた。
「何?周防。」
「椎名の奴、昨日の夜俺んトコに来たぞ。」
「………何しに?昨日の流れからして、一段落着いたんじゃないの?」
「あぁ…なんでも…………」
『…どうしよう周防っ!!』
『……は?……何が?』
『………俺…
…………今日の昼から、全教科30点以下しか取れない夢ばっか見るんだっ!!』
『……………まさか…今日の騒動の原因って…』
『へっ!?』
じと〜っと、怪訝な目で椎名を見上げる。
周防のその視線を受けて、わたわたと慌て出す椎名。
『……違っ…!!…あれは違うっ!!あれとは全く関係ないからっ!!』
『あ…そう。』
『うん。……………で、何でかな?』
『え、知らん。そんなん。』
『だって…っ!!……俺…今まで30点以下なんて取った事ないんだよっ!?悪夢だよっ!!あれっ!!』
『……………………お前さぁ…』
『何?』
再び周防にじと〜っと、視線を向けられて、首を傾げた。
『…………最近…
……勉強…してる…?』
『…してないよ?』
『……だからじゃん?』
『は?』
『…中間。1週間前。』
『……………は?』
周防は、壁に掛けてあるカレンダーを指して言う。
椎名は、カレンダーに目を向けて固まる。
そんな椎名の前に、ピラリと1枚のプリントを差し出す。
『ほれ。範囲も出てるぞ。』
テスト範囲プリントを凝視して、再び固まる椎名。
その顔面は蒼白である。
『………ヤバいじゃん…俺。』
『初30点以下かもな。おめでとう。』
『周防様、勉強教えて下さい。』
「………ってな相談をされた。」
「…アホやぁぁあぁあぁああぁっ!!」
理苑は思わず声を張り上げた。