長話
□ep5
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「………何か、良い眠気覚まし方法無い?」
「………え?」
朝、HRが始まる10分前。
椎名の質問に、周防は反射的に聞き返した。
「だからぁ、良い眠気覚まし法は無いかって聞いてんの。」
「……何だ?眠いのか?」
「……ん…まぁ…。………いや、別に…ちょっとね…。」
「…顔色悪いぞ?」
「…………。」
椎名は目線を逸らした。
「……で?…何か無いの?」
「……………勉強とかは?」
「あ〜、無理。逆に眠気を誘うね。後、読書もNG。」
「……じゃあ、運動とかは?」
「運動かぁ…。例えば?」
「…筋トレとか…走ったりとか?」
「あ〜、なるほど。」
「後は〜…って、いつ使う気なんだよっ!?」
「……え、夜。」
椎名はキョトンとした顔で答えた。
「……………それはつまり…夜更かし…というものでは?」
「正解☆」
「寝ろよ。」
「無っ理〜、サファリパ〜ク♪」
「ふざけんな。」
「…俺は至極真面目だよ?」
椎名は小さく微笑んだ。
「……椎名……何かあったのか…?」
椎名は小さく目を見開いて、周防を見た。
そして、また小さく笑った。
「……………父性本能ってやつ…?」
「………は?」
「…別にぃ?お父さんは心配性だねって話。」
椎名はニッコリと周防に笑った。
「…はよ〜。」
「…あぁ、理苑。歌戯も。おはよ〜。」
《おはよう……って…あれ?椎名…》
「ん?」
《……………1人か…?》
歌戯は椎名を指差して、首を傾げた。
それにつられて、理苑は椎名の周りを確認する。
「………あれ、ホントだ。…空夜は?」
「…………………あぁっ!!」
―ポンッ
と、椎名は胸の前で手を叩いた。
「………忘れてた☆」
―キーンコーン
カーンコーン―
朝のHRが始まった。