長話
□ep3 to ep4『友』
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大した興味も無いと思うけれど
ちょっとだけ
俺の話でもしよう。
俺には、正直な話、迷惑で面倒臭くて、それでも放っておけない、困り者な幼なじみの友人が、2人います。
その内1人、東龍院 空夜は、化け物並みの馬鹿力で、短気。そして馬鹿。常識で許される範囲で行動しろ愚か者。と言いたい感じ。
そのくせ、実は優しくて、来る者拒まず去る者追わずといったような、天然タラシ。
大人しければ、普通に良い男。…だと思う。
ごめん、よく分かんないけど。
もう一方、西邦院 椎名は、これまた違った意味で厄介なタイプ。
空夜とはほぼ正反対の性格で、頭は良い。…というより、頭の回転が早くて悪知恵がよく働く。
腕力自体は常人よりはある方だが、確実に空夜には劣る。
が、それに勝る技術と逃げ足を持っている。
性格は、ハッキリ言って病んでいる。独占欲が異常な程強い。
そしてドM。誰が何て言おうとドM。大事な事だからもう一回言っておくけど、ドMっ!!
椎名は空夜にゾッコンである。完全にハマってる。
困ったものだ。
この2人、容姿自体は悪く無いので、密かに人気があるらしい。だから、学校で結構あれこれやらかしても、大したお咎めは無いとか………そんなんで良いのか、この学校は。
まぁ、そんなこの2人の歴戦を記録し、常に仲介者の立場でいるのが、俺、
『一ノ宮家』の義務である。
両家はそれを
『監視役』と呼ぶ。
堅苦しい名前だね。
両家…『東龍院家』と『西邦院家』は、遥か昔、両家初代当主の代から恐ろしく仲が悪く、殺し合いを続けて来た間柄である。
初代の結果はドロー。
それを初めとして、互いの代の決着が着くまで争う因縁が、現代まで続いている。
それが、両家に伝わっている言い伝え。
『言い伝え』や『伝説』なんかの、『昔の事』…『歴史』は、時を刻むに連れて、脚色されて行く物で、大抵綺麗なままの真実が遺されたりはしない。
所詮は『伝わって来た事』。
『真実』とは違う。
俺は知ってる。
実際は、初代両家当主は、非常に仲が良かった。
だがある日、両家当主が共に自害した。
原因は不明。
しかし、自害に至るまでの経緯で、西邦院当主の錯乱による裏切りと見られる行為があったと言われている。
裏切りって…何?
って感じだが。
ただ、それにより両家当主が自害したのは確実で。
それまで築き上げた仲が180度、嘘のように崩れ落ちたのだ。
これが真実。
『原因は不明』
さっきそう言ったが、
俺は知っている。
『一ノ宮家』としてでは無く、
『一ノ宮 理苑』として。
少し、俺の話をしようか。