頂きモノ

□匿名希望
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そんなこんなで増幅した負荷に負けじと一週間前から作法書とにらめっこしていたルキアに、
自分もソウル・ソサエティへ一緒に行くと一護が言い出したのが昨日。
もちろん行事に参加することはない。
ただ待っているのは退屈だぞとルキアは念を押したが、彼は暇なら寝てる、と同行を譲らなかった。


・・・しかし。


約二時間前にルキアは彼を客間に残し準備へと向かった。
やっと手が空いたので様子を見に来てみればこの通り。
寡黙を気取っていても生まれた時からお祭り騒ぎを毎日のように強制されてきた身。
あの若さと性質ではここでじっとしているなど拷問に近いだろう。
彼は朽木家のこの『極度に気まずい状況下における重たい沈黙』とも呼べる静けさにあっさり負けたのだ。
置手紙やら言付けの一つでも頼んで行けばいいものをとも思ったが、
家の者は皆、忙しそうに駆けずり回っている。
ちょっとその辺に散歩にでも出たのかも知れない。
もしくは何処かの隊に顔見知りでも探しに行ったのかも知れない。
人間と言えど、彼はここでも多くの者から慕われている。
心配する事など、別にないのだけれど。いなければいないでやはり落ち着かない。



ルキアは深く息を吸うと霊圧を探る。

大きさ、強さ、その毛色――――――

個性は様々なれどその中でも彼の気配を探るのは容易い事。
その霊圧を日頃誰よりも近くで感じ取っているルキアでなくとも、という所が問題なのだ。
死神としては、もう少し探り難いぐらいでないと困るものだというのに。

「・・・あやつは何をちょろちょろと・・・。」

疑問符を浮かべて見上げた空は、今にも雨が降り出しそうだった。









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