頂きモノ
□キミとふたりで
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ゴールデンウィークだと言って、世間の人達が海外や県外に遠出している時、俺は、ぶらりと外に出て、土手の草野にごろりと寝転がり目を閉じていた。
こういう休みは、どっかに出かけるより普段の疲れを癒したいわけで。
ぽかぽか陽気の中、次第に眠りに落ちていっていたのだが――。
ふわりと覚えのある香りがして、ふと目を開けた。
すると、そこにはルキアが立っている。
いつものようなワンピースではなくて、ちょっと短めのスカートで。
「急にいなくなったから、どこにいったのかと思ったぞ?」
そう話しかけられた。
「手」
「手?手がどうしたのだ…?」
そして、俺は寝転がったまま自分の手をルキアに差し出した。
それを見て自分より一回り小さな手を迷わず俺の手に乗せたルキアをぐいっと思い切り引っ張る。
「ひゃあ…!」
ルキアの驚いた声とともに、俺の身体の上にルキアがそのまま倒れこんだ。
「その位置に立たれると、スカートの中見えそうなんだよ。だから、オマエの場所はココ」
そう言って、抱きとめたルキアの背中に腕を回す。
俺の胸に頬を当てて抱きしめられたままになっていたルキアが、そのままちょっとだけ俺を見上げたから視線がかち合った。
「私がこうしていたら、一護は重くて疲れるだろう?」
「いーんだよ、重くねえし、疲れもしねえから。だから、こうされてろ」
そう言った俺を見て、ルキアはくすくす笑った。
あんなのは、ただの言い訳。
本当はルキアを抱きしめたかっただけなんだ。
この小さな身体を自分の腕の中に閉じ込めて俺のものだけにしたくて。
変わらない空の青、変わりゆく白の雲の下で、俺は小さな彼女を抱いている。
『抱き締めたい』
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