頂きモノ

□炬燵と蜜柑と貴方と私
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酸っぱい蜜柑が甘くなる。



「炬燵と蜜柑と貴方と私」



「やっぱりこたつは最高だな」

一護はこたつに入って寝転がると、背伸びをしながら言った。
先にこたつに入っていて本を読んでいたルキアは、呆れたように一護を見て本をテーブルに置いた。

「久しぶりに部屋から出できたと思ったら、第一声がそれか?」
「やっと冬休みの課題が終わったんだ。休ませてくれ」

そう言って、こたつの中に潜り込む一護。ルキアは盛大に溜息をついた。
医学部に在籍している一護は、冬休みにたくさん課題が出たらしい。
元々溜め込むのが嫌いな一護は先に終わらせると言って、冬休みに入ると直ぐに部屋に篭って課題に取り掛かった。

『課題を終わらせないと、おまえとも遊べないしな』

そう言われてしまうと何とも言えないので、ルキアは一護が部屋に篭ってる間、おやつや食事、夜食などを差し入れした。
しかし、差し入れに行っても一護は課題に集中していてまともに話してくれなかった。
仕方がない…とルキアは我慢した。課題が終われば一護とゆっくり過ごせると思って。しかし―――

「あー…眠い。疲れた……」

更にこたつに潜り込む一護。本気で眠ろうとしているようで、近くにあったクッションを取って枕代わりにする。
それを見た瞬間、ルキアの頭の中でブチンと何かが切れる音がした。

「なら、ずっと眠っておれ!」

声を荒げて叫ぶと、ルキアはテーブルの上に置いてあった本を取って再び読書を始めた。
理由はわからないが、ルキアが怒っていることに気づいた一護は目を瞠って驚いた。
そして、そのまま二人は黙り込んでしまった。
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