書斎T
□ああ…風紀委員長様
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「え!?これヒバリさんが買って来たんですか?」
「まさか。風紀の者に買いに行かせたよ」
「…そうですよね。群れるの嫌いなヒバリさんが、お昼時に人が溢れてるパン屋なんて行くわけないですよね…失礼しました」
綱吉の頭の中には、イカつくて怖い顔した風紀委員の人が、行列に並んででも、是が非でもパンを手に入れようと必死な様が浮かんだ。
綱吉の想像は外れていない。
───1時間前
「最近この近くに出来たパン屋の、ランチ限定メニュー買って来てくれる?売り切れだったり、限定メニューが無かったからと言って、別の物を買って来たりしたら噛み殺すからね」
と、お金とメモを渡され………
「あ、12時開店だから今から行って並ばないと売り切れるよ?」
その一言で、死に物狂いで走ってパン屋に行った可哀相な風紀委員の男が一人。
ここに一日50食限定のランチ限定メニューがあるのは、一人の風紀委員の努力の賜物だったのだ。
「綱吉食べなよ?」
「えーと………」
「それとも何?僕が綱吉の為にわざわざ買いに行かせたこのパンが気に入らないの?」
いつまでも手をつけようとはしない綱吉に、ヒバリの目が見開く。
「ひっ!…食べます。有難くいただかせて下さいっ」
「うん 食べなよ?」
綱吉はカツサンドを手に取り、パクリと一口………
「あ!美味しい。すごく美味しいです」
「そう。良かった」
そう言ってヒバリは微笑んだ。
(ヒバリさんが、笑った///)
それは僅かな表情の変化であり、他の人から見れば気付かないが、綱吉には分かった。
(ヒバリさんてこんなに綺麗に笑うんだ………)
ちょっと意外だなと思いつつ、綱吉は次いで、ツナサンドもあっという間に平らげた。
「次はフルーツサンドね」
───パクリ
「あ、これも甘くて美味しい」
フルーツサンドは苺とキウイとバナナのシロップ漬けと、クリームが挟んでありとても美味しかった。