書斎T
□背徳
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「痛っ!痛いですっ!無理ですっ。ヒバリさん…そんなの………動かない…で…下さい!」
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―――あれ?
―――何でこんな事になってるんだろ?
―――今日は放課後に骸が襲撃に来て………
「クフフフvv雲雀恭弥と戦いに来たんですが…まさか一番最初に君に出会ってしまうとは。会いたかったですよ、綱吉君!君も僕と同じ気持ちですよね?」
「む、骸!?いきなり何?ってか何で校内にいるんだよっ?とゆーより離してっ」
並中に不法侵入していた骸に、出会うなりいきなりギュッと抱き締められて綱吉は黒曜中の制服で視界を覆われていた。
(ヒィィィ〜!どうしよう…骸が並中にいるってヒバリさんに知られたら………と、とにかく早く帰ってもらわなきゃ)
『ヒバリと骸が戦闘を始めたら巻き添えで死人が出る』
本当にありそうな…否、100%そうなるだろう展開を想像し、ちょっとしたパニックに陥っていた綱吉は、骸の言った言葉の意味を理解しないまま、今すべき最優先は『並中からの骸の退去』となり………
「骸!あ…の、ここじゃ何だから………外行かない?」
恐る恐る上目遣いで見上げてくる綱吉は、あまりにも可愛らしく通りすがりのノーマルな男子生徒が頬を染める程で………
綱吉の心底を知らず罠に掛かってしまった骸は………
「!Σそれはデートのお誘いですよね?そうですよね?」
勝手にデートだと勘違いしてしまった骸…
面倒なのと、一刻も早く並中から骸を遠ざけたかったので『デートではない』と訂正はしなかった。
―――その夜、ヒバリからメールで呼び出されて綱吉はヒバリのマンションへ行った。
最近、どこか優しいヒバリになんのためらいも無かった綱吉は警戒する事もなく、招かれた部屋へと足を踏み入れた。
ちょこんとソファーの真ん中に座った綱吉の前にヒバリが座る。じっと見てくるヒバリに………
(あれっ?…何か今日のヒバリさんいつもと感じが違う?)
変わらず綱吉を見つめてくるヒバリに違和感を感じ始め、どうしたのか?と問い掛けようとした時………
おもむろにヒバリが口を開いた。
「ねぇ、単刀直入に聞くけど骸とデートしてたんだって?」
「えっ!?何でその事を///」
綱吉としてはヒバリに骸絡みの話は禁句だと思っていたので、ヒバリから骸の話題に触れてくるのは意外だった。
「ふーん、やっぱり君だったんだ?黒曜の制服の変な頭した男と、うちの中学のリスみたいな目の男子生徒が一緒だったと風紀委員から報告があったからね」
「あっ、否、デートではなくて、その…何て言うか………」
綱吉から目を離さず話すヒバリの視線がなんだか怖かった。
綱吉としては『リスみたいな目』は男の自分としては、ちょっといただけないものがあり…その発言に物申したかったが、我慢するしかなかった。
「でも、放課後ずっと一緒にいたんでしょ?うちの風紀委員から多数の目撃情報が報告されてるからね。ゲームセンター、レコード店、ファミレス等」
(ゲッ!!マジですか〜…風紀委員なんて町中で一人も見なかったけど………)
「君の家の前で黒曜の生徒が君にキスしたとも言っていたね」
「!///〜〜〜」
途端に綱吉の顔がボッとユデダコみたいに赤くなった。
確かに別れ際、骸にキスされた。キスされたと言っても頬に軽くだ。外国人がよく友達や家族にするような挨拶替わりのキス。
クロームが一度綱吉の左頬にしたような感じで、骸は綱吉にキスしたのだ。
「………………これも本当みたいだね」
「確かにキスされましたけど、頬だったし。そりゃあ…口にされるよりマシですけど」
当初、骸は口にキスしようとしていた。それを綱吉は何とか死守したのである。
「でもキスされたんだよね?なら………お仕置が必要のようだね」
綱吉がもんもんと考えていたら………
いつの間にか、ヒバリが目の前に移動していて抱き抱えられる。
大多数の女子が一度は彼氏にされたいと言われている(?)お姫様抱っこだ。
「え!?ヒバリさんっ、どこ連れて行くんですかっ?」
「ん?隣りの部屋に移動するだけだよ」
そう言ったヒバリに下ろされたのは、濃紺で統一されたベッドで………
「あ…の?どうしてベッドなんですか?」
薄々これから何をされるか分かってしまった綱吉は、青ざめながら一応自分の勘違いの可能性もあるので尋ねた。
「何を聞いてたのさ?お仕置するって言ったよね」
「否、だからなんで俺がお仕置されるんですか?」
「何故って?骸とデートしてキスしたんだからお仕置されるのは当然でしょ?」