Primula
□◆第七章 謝罪◆
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酷い頭痛に襲われてルリは目を覚ました。
薄暗い部屋のベッドに寝かされている。
オークに掴まったにしては随分と趣味の良い部屋だ。
普通の民家でもない。
上体を起こそうとすると全身に痛みが走り、彼女は声にならないうめき声を上げて再びベッドに沈んだ。
「目が覚めたのね?」
いつの間にか入って来たのか、金色の髪を持つ美しい女性がベッドに歩み寄ってくる。
ルリは寝たままでは礼を欠くと思い、起き上がろうとした。
「あぁ、無理しなくていいわ」
女性は慌ててルリを制すると母のように乱れた上掛けを直す。
「私の名はエオウィン。ここはローハンのエドラスよ」
ローハン!?
再び起き上がろうとしたルリは、エオウィンの制止を振り切って上体を起こした。
気を失いそうなほどの激痛が襲う。
必死に何かを訴える彼女の様子にエオウィンは訳知り顔で羊皮紙とペンとインクを差し出した。
自分が話せない事を分かっていることに驚いたが、それ以上に彼女には知りたいことがあった。
ルリは殴り書きのような勢いで文字をしたためる。
[ローハン軍は私達を助けてくれたのですか?]