Primula
□◆第六章 再会◆
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エオメルは最近エドラスに戻ってくる度に不機嫌だ。
その理由は様々だったが、ほとんどがグリマが原因である。
今回も援軍に向かったセオドレドの遠征はとっくに目的を果たして、『何をしに来た?』と彼にキョトンとされる始末。
エオメルの軍は無駄足を踏まされただけだった。
イライラしながら黄金館に向かう彼にロイドが声をかけた。「エオメル隊長」
「どうだった?」
エオメルはグリマの手の者の目を引かぬように建物の陰に入る。
「それが…」
ロイドは言い辛そうに説明をした。
「…つまり、俺の行動は奴に読まれていて、お前にまで無意味な任務を言いつけたのだな」
エオメルが彼に託した『言葉を紡ぐ者』の援軍は叶わなかったらしい。
「ただ、弟のガイルに様子を見に行くよう命を出しましたので、運が良ければ何かしら力になってくると思いますが」
力及ばず申し訳ありません…とロイドは呟いた。
「俺とてグリマの良いように動かされた…お前ばかりを責められるはずもない」
エオメルは腹心の肩を叩いた。
「しかし、どうしてサルマンは彼らの一族を狙ったんだろうな」
「それのことなんですが、下らない任務の道中、興味深い話が聞けましたよ」
彼の話では、偶然にも同行した中に『言葉を紡ぐ者』出身の祖母を持つ騎士がいた。