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□◆第七章 〜再会〜◆
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随分と長い間眠っていたような気がする。

死んでしまったのかとも思ったが、体中が痛みに悲鳴を上げているところ見ると、どうやら死に損なったらしい。

ボロミアがゆっくりと目を開けると、目に入ったのは岩肌。

体中に包帯を巻かれ手当された状態で、洞窟のような場所に寝かせられていた。

「誰かに助けてもらったのか…」

ボロミアは傷む体を無理矢理起こした。

周りに他の者の気配も、そこにいた痕跡もない。

『ボロミア様っ!?』

懐かしい声がした。

一瞬、自分の願望が生んだ幻聴かとも思った。

しかし、すぐに目の前に待ち望んだ姿が現れる。

「…ルリ?」

『具合はいかがですか?』

それが夢や幻でないことを確かめるようにボロミアは手を伸ばして彼女の頬に触れた。

『ずっとお目覚めにならないから、死ぬ程心配しました』

瑠璃は半泣き状態だった。

彼女はアムラスと共に馬で駆けている途中、別の方向に自分の術の発動を感じた。

ガラドリエルに頼んでゴンドールの大将に渡した依り代が、その役目を終えたのだ。

依り代の役目…持ち主に危機が迫った時に身代わりになることだ。

ボロミア様かファラミア様がたった今危機に面してる!

瑠璃は急いで別の式神を使い術の発動元を追わせた。

木々の根元にボロミアを見付けた時、てっきり死んでいるかと思った。

矢が刺さり血だらけでピクリとも動かずぐったりと横たわるその姿は、幾度と見た悪夢の中そのままの姿だったのだ。

だが、僅かに上下する胸が彼の命の灯火がまだ失われていないことを示していた。

癒しの術を駆使して何とか治癒に成功したものの、一向に目を覚まさないボロミアに瑠璃は心配でどうにかなりそうだった。
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