Duranta
□◆第七章 再会◆
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ヘルム渓谷での戦はローハン軍の辛勝で幕を閉じた。
再びエドラスへと戻った一行は追悼と勝利の宴を開いて疲れを癒している。
ルリはそんな仲間達の姿を見ながら場の雰囲気を壊さぬようそっと席を外した。
「落ち着かないようじゃな。気が急いておるのか?」
外に出て星空を眺めていたルリは声をかけられて振り返った。
『ガンダルフ…私は…』
「うむ、アラゴルンより聞いた。ゴンドールへ向かおうとしていたそうじゃな」
ガンダルフが隣に並ぶと、彼女は再び視線を前へと向けた。
その瞳は遠いまだ見ぬ都─ゴンドールに思いを馳せているようだった。
「必ずゴンドールへは出向くことになる…焦っても仕方あるまい」
彼女の心情が分かっているのか、魔法使いはそう告げた。
『ガンダルフ…』
「時を待つんじゃ…時をな。お前が思っているよりずっと早くゴンドールへ向かうことになるだろう」
はい…とルリは素直に頷いた。
彼はきっと何もかもお見通しなのだろう。
ガンダルフが今はその時ではないと判断したのならばそれはきっと正しい。