Duranta
□◆第三章 恩人◆
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「ところで名前…」
馬を休ませるために休憩を取りながら男がふと口を開いた。
首を傾げて自分を見るルリに彼は言葉を続ける。
「名前…聞いてなかったと思って」
『ルリです』
「ゴンドールの者か?」
『いえ…出身はローハンの外れの小さな村です。もうその村はありませんけど…』
男は剣の手入れをしている手をふと止めた。
その行動に続きを待っていることを察して彼女は説明する。
『オークに襲われて全滅しました。私は……ボロミア様に命を助けられて…』
「ゴンドールの執政家の息子か…」