Duranta
□◆第一章 決意◆
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『またあの夢…』
寝台の上に起き上がったルリは立てた膝を抱えてその上に顔を埋めた。
何度も夢で繰り返されるボロミアの死。
彼のことを忘れるつもりなど毛頭ないのに、こうも頻繁に見せられると塞がろうとする心の傷は瘡蓋を剥がされるように新たな血を流す。
ルリは無意識に握っていたボロミアから預かった証を目の前に翳す。
─弟のファラミアに…─
『ファラミア様…』
まだ会った事のない彼の弟を想像してみる。
ボロミアのように背が高いのだろうか。
大きく優しい手をしているのだろうか。
…彼のように強く暖かく…少年のように笑うのだろうか。