Duranta
□◆プロローグ◆
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─パルス・ガレン─
『ボロミア様っ!?』
ウルク=ハイの躯が散乱する中、ルリは信じられない思いで横たわる彼の元に駆け寄った。
胸に数本の矢を受け、息も今にも途絶えそうに細いボロミア。
『…ボロミア様?』
すぐ傍に跪くとルリは震える手でボロミアの体に触れた。
ベットリと手に絡み付く暖かい血。
その赤い液体が彼の命と共に彼の体から流れ出ている。
そっと指先で頬に触れると、瞳がゆっくりと開き綺麗なグレーの瞳が彼女に向けられた。
「…ルリ…」
『しっかりしてください、ボロミア様…』
縋り付いて泣くルリの頭に大きな手がかかった。
ずっと彼女を守ってきてくれた手だった。
だが、いつもの力強さが感じられない…
それが余計に彼の命が消え逝く様を表しているようでルリの口から嗚咽が漏れる。