Iris
□◆第八章 負傷◆
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坑道を抜け、ドワーフの地下宮殿を進み…ギムリの従兄弟が眠る部屋まで辿りついた。
散乱するドワーフやオークの遺体を調べていたルリは突如響き渡った音に驚いて立ち上がる。
空井戸に何かを落としたらしいピピンがガンダルフの説教を受けている様子が見えた。
だが、それも長くは続かなかった…太鼓と奇声がオーク達の襲撃を告げる。
扉に駆け寄って外の様子を伺ったルリはふいに腕を引かれてバランスを崩した。
『!?』
ドスッと音がして今まで彼女が立っていた脇の扉に矢が刺さっている。
彼女を引き戻したボロミアは片腕で彼女を抱きとめつつ、そのまま扉を閉める。
彼はルリを後方へと押しやりながら閂をかけた。「トロルもいるぞ!」
ルリは矢を番うと扉に向けた。
「ルイ、フロドを頼む」
同じように弓を構えるアラゴルンに言われて彼女は無言で…だが、しっかりと頷く。
『フロド、私の側を離れないように』
フロドは青白く光る貫き丸を手に心細そうにルリを見上げた。
『心配するな。私が守るから』
ドカッバキッと亀裂音が響いて扉が壊された。
ルリは傾れ込んでくるオーク達に矢を放つ。
そして接近戦になったところで剣を抜いた。
凄まじい殺気が彼女を包み込み…そのあまりの威圧感にオークばかりか仲間までも一瞬呆然とした。
『フロド、下がって!』
ルリはフロドを部屋の隅に押しやってオーク達の前に立ちはだかる。
剣を構えると斬り込んで行った。