Iris
□◆第四章 反対◆
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「私は反対だ」
いよいよ出発という時に同行を申し出たルリ。
驚きの声が上がり…エルロンドが成り行きを見守る中、真っ先に口を開いたのはストライダー─アラゴルンだった。さきほどの言葉である。
『確かに私は会議にも出席しておらず、正式に任命されたメンバーではありません。ですが、お手伝いぐらいは出来るはずです』
「無駄な犠牲を出したくないだけだ」
『私が共に行く事に何か不都合でも?』
「これはお遊びじゃない。物見遊山で行くような場所ではないんだぞ」
頑として引こうとしないルリにアラゴルンの口調も段々厳しいものになっていく。
『モルドールがどのような場所なのかわざわざ教えていただかなくても分かっています』
彼女の言葉にアラゴルンは目を細めた。
『彼らがフロドを心配してついて行くことが許されるのに何故私は駄目なんですか?』
ルリはホビット達を振り返った。
突然話を振られたホビット達はキョトンと顔を見合わせる。
「彼らはホビットだ」
どういう意図があるのかアラゴルンはただそう言っただけだった。
『友を心配する気持に種族は関係ないでしょう!』
思わず声を荒げたルリは我に返って、声のトーンを落とした。
『私の腕が信用できないと仰るなら証明しましょうか』