Iris

□◆第三章 真実◆
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「ご苦労じゃったな」

ベランダの手すりに肘を置いて眼下に広がる谷を眺めていたストライダーはその声に振り返る。

「ガンダルフ」

「よくぞフロドを導いてくれた」

本来ならば儂がせねばならんことだった…と魔法使いは続けた。

「彼のおかげでもあります」

ストライダーは離れた所で石造りのベンチに座り剣の手入れをしているルリを振り返った。

その側でメリーとピピンも戯れ合っている。

彼らは盛んにルリの注意を引きたがり…彼女も苦笑を浮かべつつ時折手を止めては二人の相手をしている。

「彼…?」

ガンダルフも彼の視線を追ってそちらを向く。

「ルイと言ってフロドとビルボの知り合いらしい。若いが腕は立つようです」

ほぉと魔法使いは目を細めると興味津々といった表情を隠そうともせず、ルリに近付いて行った。



「ルイと言ったかの?」

ルリは剣を鞘に納めると顔を上げた。

そしてガンダルフの姿を認めると慌てて立ち上がって頭を下げる。

彼は堅苦しい挨拶は無用とでもいうように片手を振った。

「儂はガンダルフ。フロドをここまで連れてきてくれてありがとう」

『いえ、私は何も…』

ルリが話すとガンダルフは一瞬驚いた顔をしたがすぐに微笑みで隠してしまう。

「ルイは凄いんだよ。ブラックライダーだって退けちゃうんだ」

ピピンが自分のことのように自慢気に語るのをガンダルフはほぉと感心した素振りで聞く。

『いえ…そんなことは…』



「アムンスールでナズグル達を相手にした腕は大したものだった」


 
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