Iris

□◆第一章 遭遇◆
1ページ/5ページ


ルリの家を出た5人は暗闇に身を潜めながらブリー村を目指すことになった。

そこでフロドは友人である魔法使いと待ち合わせをしているのだと語った。

辺りは奇妙なほど静まり返り、息が詰まるような重苦しい空気が立ち込めている。

動物や昆虫、植物までもが息を潜めてただひたすら闇が通り過ぎるのを待っているようだった。

フロドはガンダルフの言いつけを守って注意深く街道を横切ろうと木の陰から様子を見る。

「行こう」

フロドの掛け声に走り出そうと飛び出した彼らの前に突如真っ黒い影が現れ、行く手に立ちふさがる。

「「「!」」」

驚いて仰け反ったフロドを庇うようにルリが飛び出す。

後ろ足で立ち上がった馬の前脚を避けながら背負った矢筒に手を伸ばす。

『逃げて!』

彼女の叫び声にホビット達は一斉に木々の間に駆け込んだ。

彼らを追おうと方向転換する黒騎手にルリは素早く弓を放つ。


それは確かに相手に当たった…手応えがあった。


しかし、相手の行動を止めるほどの痛手を負わすことは出来なかったようだ。

ルリは急いで次の矢を番うと駆け出した黒馬の後ろ足を狙う。

ヒュンッと風を切る音がして矢が馬の脚を貫いた。

馬は暴れてしばし制御困難になる。

それを確認するとルリは急いでホビット達の後を追った。



 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ