Iris

□◆プロローグ◆
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彼らはいつも嵐のごとく現れる。


「ルリーーーー」

良く通る高い声はペリグリン─通称ピピン。

いないのーーー?などと声を張り上げて呼んでいる。

もう少し静かに呼べよ…と嗜める相棒のメリアドク─メリーの声もした。

ドンドンとドアを叩く音が家中に響き渡る。


ルリは溜め息をつくと読んでいた本を閉じた。

前回襲撃されたのは美味しいキノコが手に入ったからキノコパーティをしようというお誘いだった。

前々回はパイプだったと思う。

その前は…。

…理由は何であれ愉快なホビットの青年達はことあるごとに彼女の家を尋ねて来る。

時間や彼女の都合などおかまいなしに…だ。


気取られぬようにそっと足音を忍ばせてドアに近付くと、一気にそれを開く。

「「「「わぁーーーーー」」」」


足下に転がってきたのは先ほどの声の主である二人だけではなかった。

ルリは積み重なるように倒れている小さな四つの体を呆然と眺める。


『フロド…あなたまでどうしたの?』


少々呆れ気味の彼女の声に一番上に乗っていたフロドが照れくさそうに笑った。

「サム、どけよ、重いーーー」

メリーの抗議に丸まるとした体格のサムはむっくりと起き上がった。

服についた埃をパンパンと叩き落としながら四人は笑顔でルリを見上げた。

ある者は嬉しそうに…ある者はバツが悪そうに…その笑顔の種類は実に様々であったが。


 
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