Verbena

□◆第一章 疑惑◆
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数日後、改めてルリは(仮の)父と共にエルロンドに会いに来ていた。

黒髪のエルフは前と変わらず威風堂々と椅子に腰を下ろして書類を眺めている。

ルリは緊張の面持ちでグロールフィンデルの脇に隙間無くぴったりとくっついて座った。

「何か不便なことはないか?」

よく通る声で聞かれてルリはビクリと肩を震わせた。

恐る恐るエルロンドを見ると、彼は顔は書類に向けたままで視線だけを彼女に向けている。

ルリは咄嗟に頷いて…すぐにそれだけでは失礼にあたると気付いて声で返答した。

主の迫力に圧されて消え入りそうに小さいものだったが…。

「…はい」

グロールフィンデルはやれやれと呆れたように息をつくと立ち上がった。

「エルロンド卿、ちょっと書棚を見せてくれるかな? 借りようと思っていた書物があったのを思い出した」

置いて行かれることを察して心細そうに自分を見上げる少女の頭を宥めるように撫でると、返事を待たずにグロールフィンデルは部屋の奥に向かった。


 
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